恋愛・結婚

不倫相手は「妻からのDV」に苦しむ45歳男性。会社ぐるみで育む“危険な恋路”とは

いつしか一線を超える仲に

 斎藤さんと山口さんはDVを矯正するための方法などを話し合い、専門家の話を聞くために行動したという。「二人で会う機会が増えていったうちに、彼から『あなたと結婚すればよかった』と告白されたんです。既婚者なので、男女関係になるなんて、考えたこともなかったです」と、斎藤さんは語る。  だが、そんな気持ちは、斎藤さんの母親が不慮の事故で亡くなったことで変わっていく。実は、斎藤さんには父親に可愛がられた記憶があまりなく、そんななかでの母親の死をきっかけに親族との関係がさらに冷え切っていったのだ。 「母親を亡くした喪失感と、たった1人の家族との関係がさらに希薄になったことで、孤独が募っていったのです。もちろん不倫はよくないことだとわかっていますが、そんな孤独なときに彼が寄り添ってくれたことで、いつしか一線を超えるようになりました」  ほどなく二人が男女の関係になると、山口さんはAさんと離婚して人生をやり直そうと決めたという。そんななか、やっとAさんが承諾して家族で治療するDVケア施設へ入所する準備を始めたのだが、そこでなんと二人の不倫がバレてしまう

二度と会えないと思ったら驚きの事態に

オンライン「Aさんは、夫の素行調査を探偵事務所に依頼していたのです。私に慰謝料を請求しようとしたところ、彼が『自分が悪いから慰謝料は自分が払う』と止めたそうです。すると逆上して、弁護士立会いのもとで私に誓約書を書かせました」  二人の不倫関係は終わったかに思えたが、そんななか、2021年のある日、サプライズが起こった。事情を知らないスポーツサークルの仲間が主宰したオンライン飲み会で2人が再会したのだ。 「山口さんは元気そうで、コロナ禍になっても積極的に出社して仕事に専念していました。AさんにGPSをつけられていることなどの事情を会社に伝えると、コロナ禍にもかかわらず残業も認めてくれ、スマホもチェックされていると知った会社は、プライベート用に会社の古いパソコンを譲ってくれたそうです。『仕事が終わってから、妻から交流を禁止されているサークル仲間に連絡したり、時にはオンラインで話すのが幸せだ』と彼が言ったんです」  山口さんは子供が高校に入学したら、Aさんと別れると決め、離婚に有利になるようなDVの証拠を集めているという。「オンラインの向こうから『今度こそ幸せになろう』と力強く言ってくれました」と語る齋藤さん。道ならぬ恋だと知りながらも、2人は秘かに愛を育んでいる。 <取材・文/夏目かをる>
コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪
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