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「浮気しやがって」「ぶっ殺してやる!」DV妻に何度も殺されかけた40代男性に起きた“悲劇”

 配偶者や恋人からの暴力(DV)は、決して許されるものではない。一般的にDVというと、男性から女性への暴力を思い浮かべる。しかし、令和2年度の「内閣府男女共同参画局の統計」によると、女性の約4人に1人、男性の約5人に1人は、配偶者から暴力を受けたことがあるとされている。今回は女性から暴力を受けた男性の実例に迫る。
DV被害者

現在、療養中の中村氏

 国際的に活躍する医療関係者の中村さん(仮名・40代後半)。現在、専業主婦だった妻からのDVと親権・離婚裁判を抱えている。心臓への大きな負担がたたって、5年前から、ある地方都市で療養しながら、子どもと会えない日々を送っている。

結婚する前からあった妻のDV

 ビジネス系マッチングアプリで出会った中村氏は、妻と1年ほど交際をする。当時から水着のモデルの仕事をしているという妻は精神的に不安定で、たびたび仕事上で性被害に遭っていると話していた。一方で、「妻からのDVは結婚前からあった」と言う。それなら、なぜ結婚したのだろうか。 「交際期間から行動がおかしかったです。だけど、怒鳴って暴れることもあれば、そうじゃない時期もありました。怒っているときは形相が変わり、『あんた、何言ってんの!』と暴れましたが、日本語が不自由なのかと思っていました。とても弱い人で、普段は上品な人でした。守ってあげたいと思いました」  見せてもらった妻の写真は、とても暴力を振るうような女性には見えない。容姿端麗で優し気な女性が微笑んでいた。

ありもしない浮気を疑われる

DV被害者

妻が暴れた後の部屋の様子

 交際時にはこんな出来事もあった。2011年の東日本大震災があった際、アメリカで仕事をしていた中村氏は日本に帰国する。彼の元には、安否を確認する電話があった。その中には、仕事で懇意にしていたヘッドハンターの女性がいた。 「そこから『A子って誰なんだ! B子は誰なんだ!?』といった感じで、携帯電話をバキバキに折られて破壊されたのです。仕事柄、X線画像などを扱うので、パソコンは常に最新のハイスペック機種で、100万円はするものを使っていました。それも壁に投げつけ、さらに机の角に叩きつけて壊しつくしました。半年で10台ほど壊されました」  後ろから羽交い絞めにされ、バッグの紐で首を絞められたこともあるという中村氏の首には、うっ血痕が絶えなかった。中村氏は決して華奢な男性ではない。中学・高校の時には、友だちを守るために他校の生徒と喧嘩をするなど“やんちゃ”もしていたという。 「「文武両道』を掲げる進学校を首席で卒業し、陸上やスキー、アイスホッケーなど、スポーツも一通りやっていました。やり返せないわけではなかったのですが、だからこそ、妻に手を上げることは怖くてできませんでした。けがさせてしまいそうだったので」
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立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1

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