大阪“10円自販機”社長のただでは転ばない経営哲学。アホなことを真剣に
10円というビックリ価格の自動販売機が大阪府大阪市の福島区に設置されている。運営するのは同じ区に本社を置く「株式会社 大阪地卵」。会社前には、飲料が出てくる10円や50円のほか、ガチャガチャをコンセプトにした自動販売機などがある。ダウンタウンの“浜ちゃん”をモチーフにしたものや招き猫を描いたものなど、見た目もユニークだ。
大阪で産まれた卵の卸業者だ。昨年9月から導入したとある新型の自動販売機では、1台で月の平均売上40万円を叩き出している。なぜ、地卵を販売する企業が自動販売機を運営しているのか。そして、一体どのように利益を得ているのか、代表取締役を務める釜坂晃司氏(62歳)に疑問をぶつけてみた。
物心ついたときには、すでに親御さんがスーパーなどへ地卵を卸売りする企業「株式会社 大阪地卵」を経営していたため、高校生の頃からちょっとずつ家業を手伝っていたという釜坂氏。17歳の頃からはすでに、お金を稼ぐことに興味津々だった。
「フェラーリ乗りたいとか年収1000万円をもらうためにはどうすればいいかとか、そんなことばかり考えていましたね。同級生から『ブラックカードは何でも買えるらしい』と聞いたときには、その話題で盛り上がりました」
とくに疑問を持つこともなく家業を手伝っていた釜坂氏だが、20歳ぐらいのときにふと、いつの日か自分が継ぐであろう大阪地卵の年商についてあらためて確認。このときはまだ卵だけを販売していた大阪地卵だが、年商はピーク時で8億円ちょっとだったとか。
「年商は5億~8億円でしたが、僕が20歳の頃あたりから売上はだんだんと低くなっていきました。儲かるならこのまま継いでもいいと思いましたが、『なんか、儲かりそうにもない』と思ったんです。そこで20歳のときに考えたのが、ヘリコプターの運転手でした」
釜坂氏が20歳のときといえば、1981年頃。当時はまだ、徳島県から淡路島(兵庫県)まで行くのにフェリーしかなかった時代。盆や正月といった帰省時には、フェリーの待ち時間は数時間ということもあったとか。そして高速道路も、いまのように整備されていなかった。
「和歌山県にある白浜は当時、新婚旅行のメッカでした。いまでこそ湾岸線ができて日帰りもできますが、当時は確実に1泊する。でも、ヘリコプターなら白浜まで車で1時間半ほどの距離にある潮岬まで大阪市内から30分で行ける。それなら夢があって儲かると思ったので、ヘリコプターの運転手になろうと養成所のある八尾空港に問い合わせしたんです。そうしたらワンフライトの研修費が8万5000円。『実習で1時間飛んで8万5000円ですか?』と聞いたら、『そうですよ』と言われたんです」
資格を取得するためには、余裕をみて100時間分の費用が必要だった。釜坂氏はすぐ母に相談したが、「自分で儲けてからにしろ」と一蹴され、悔しい想いのままヘリコプターの運転手を断念。23歳のとき、本格的に大阪地卵に入社している。
このままでは年収1000万稼げない
やっぱりお金か…夢と現実
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
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