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「年間156億円」プロテインを売る“女性専用フィットネスクラブ”したたかな戦略

筋トレ以外の用途で飲む人が増加

まず、一つ目のポイントは主婦層の健康意識の高まりだ。カーブスは主に女性を顧客としており、高齢者や、家事や育児などの日々の生活に忙しい主婦層に手軽に利用されている設計になっている。 さらに、近年プロテインは、筋トレだけを目的とせず、美容や健康を目的として多くの人が飲み始める成長市場であることも同社のプロテイン売上が伸びている理由だろう。 次のポイントが、製品のクオリティである。ひとつ驚きの事実を紹介しよう。 カーブスのプロテインは450gで約6300円なのに対し、たとえばAmazonで現在ベストセラーとなっている株式会社レバレッジが製造販売するプロテインVALXはその倍量となる1kgで約4500円とかなり安価だ。

女性たちの心を掴んで離さない「作り込み」

なぜ、Amazonで半額で変えるプロテインを、主婦たちは“わざわざ”カーブスで買い求めるのか。それは成分と味バリエーションの多さ、そしてプロテインに含まれている栄養素で説明できる。 カーブスのプロテインは、特別な技術で処理された乳たんぱく質を使用しており、低カロリーでありながら高い栄養価を誇っている。また、プロテイン本来の味や香りを生かしたフレーバー展開もされており、利用者からの評価が高いという。 そして、味が5種類用意されており、味に飽きが生まれにくい。さらに、カーブスでは普通のプロテインと、スーパープロテインの2種類が用意されている。 スーパープロテインは、20種類のアミノ酸をバランスよく調整し、さらに味を3種類から選べ、食物繊維や11種類以上のビタミンが配合されている。 つまり、味と栄養素が一般的に流通しているプロテインと比べて豊富なのだ。これだけのプロダクトの作り込みが、健康意識の高い女性たちの心を掴んで離さないのである。
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「終わりなき営業サイクル」で高シェアを生み出す
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EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している

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