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「年間156億円」プロテインを売る“女性専用フィットネスクラブ”したたかな戦略

「終わりなき営業サイクル」で高シェアを生み出す

次のポイントが、各店舗でのセールストークマニュアルの徹底化だ。カーブスでは、スタッフが電話で会員とコミュニケーションを積極的にとるなどして、利用者がリピートしやすい環境を整えている。 一般にフィットネスジムでは休眠会員がいることが高い利益率をあげる理由と説明されているが、カーブスにとってはこれは歓迎すべきことではない。プロテイン販売のアップセルをする上で、休眠会員の存在は機会損失になるのだ。 こうした背景から、カーブスでは従業員が積極的に電話で声かけをすることで会員のリピーター率、アクティブユーザー率を高めている。 そして、このリピート率の高さが、結果的に安定的なプロテインの売上にもつながっているのだ。また、カーブスでは、既存会員に知人や友人の紹介を促したり、プロテインを営業するための従業員向けのトークマニュアルが存在する。 休眠会員を防ぎ、さらに既存会員の紹介で新規会員数を伸ばす。そして、積極的に来店する会員に対し、他では買えないプロテインを販売する。この終わりなき営業サイクルが同社の強みなのである。 製品の作り込みと営業力。この二つが揃っているからこそ、カーブスは競合他社を出し抜き、国内プロテイン市場で“ダークホース”として高いシェアを生み出すことに成功しているのだ。 <TEXT/田中謙伍> ※1:富士経済グループ調べ ※2:各社IR資料より筆者推定。明治ホールディングス2022年3月期。有価証券報告書129P「顧客との契約から生じる収益を分解した情報」より。ニュートリション事業売上109,556百万円から、少なく見積もっても50%はプロテインSAVASによるものと推定 ※3:株式会社カーブスホールディングス2022年8月期決算補足説明資料より。会員向け物販売上156.92億円と記載あり。
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している
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