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「“家族のため”と必死の思いで…」家族旅行を強制する父親が気付けなかったモラハラ思考。それは誰のための旅行なのか

自分のニーズを強要せず、適切に伝えるためには

「みんなはそんなに興味ないかもしれないけど、おれはここに行きたいんだけど、どうかな?」と聞いてみたらいいのです。それは「適切な依頼」です。 「歴史の教科書に出てくる場所だから、見ておくとみんなの記憶に残ってくれたらいいかなって自分は思うんだけどどうだろう?」と聞いてみるのもいいでしょう。これも「適切な依頼」です。  何かを当然だとか「片っ端から行くべきだ」と思って押し付けるのではなく、自分のニーズがあると言うことを明確に言葉にして伝えることが重要です。  もちろん、ここで嫌がられたときに、怒ったり不機嫌になるなら、それは周りを萎縮させる暴力になってしまうので気をつけましょう。相手が嫌がったり断ることを許さないなら、それは依頼ではなく、強要です。  こうして「当然」「普通」「べき」だから行くのではなく「自分のニーズだから」行きたいと言葉にするとき、今度は他の人たちの「行きたい」「行きたくない」にも目を向けることができるでしょう。  例えば、誰かが疲れて「もう無理」ってなったら、無理に引き摺り回さない。一緒に動く人と、少し休む人を分けられそうな時は、分かれて行動しても良いのではないでしょうか。家族旅行だからと言って、常に「家族みんな一緒じゃなきゃダメだ!」ということはないはずです(ただし、小さいお子さんがいて一人で子どもの面倒を見るのが逆に大変なら、分かれて行動するよりも、無理せず休む方がいいと思います)。  Nさんは、自分のニーズばかり考え、他の人のニーズを勝手に想像して、自分の理想を押し付けてしまっていました。家族旅行をしていれば良い関係である、ということではありません。いい関係とは、それぞれのニーズを尊重して、大切にできる関係です。

「あなたのために」「良かれと思って」はモラハラの最たる考え

(被害者かもしれないあなたへ)  「あなたのために」「良かれと思って」と言う加害者は非常に多いです。  あなたの感じ方や考え方を尊重せずに、相手の感じ方や考え方を一方的に押し付けてきたり、相手の思うようにならないと不機嫌になったり、「誰のおかげで……」などと、あなたの行動をコントロールしようとしてくるのは、モラハラの最たるものです。  あなたには、相手の望むように反応し行動する義務や責任は一切ありません。様々な専門機関があるので「DV 被害」などで、ぜひ検索してみてください。 (加害者かもしれないあなたへ)  それを望んでいるのは、本当に相手なのでしょうか? それとも自分なのでしょうか? 相手は、自分とは異なる考え方や感じ方をし、大切に思う価値観も異なる一人の人間です。  相手が大切にしたいと思うことを大切にしない人や、そんなこと大切じゃないと安易に評価する人は、孤独になってしまいます。誰もが、自分の大切にしていることを大切にして欲しいと願い、そうしてくれない人とは距離を取るからです。  もしもあなたが人から距離を取られやすく、孤独になりやすい人なんだとしたら、上記のようなポイントを気をつけることで、人を大切にすることができるるようになるかもしれません。
DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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モラハラ、パワハラ、DV
人間関係は“ことば”で決まる

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人間関係を改善する鍵は、言語化にあった
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