仕事

「初対面からタメ語」の“ギャルマインド”が、ビジネスの現場で求められているワケ

“推し”が演じた役のセリフが心を揺さぶった

 自分が表現者として、何が向いているのか。服が作れるわけでも、何か物を作る技術を持っているわけでもない。  手に職をつけるため、いっとき「頭蓋骨小顔矯正のエステ」で働くも肌に合わず、路頭に迷っているなか、ブロードウェイミュージカル「キンキーブーツ」の舞台を観たのが、ひとつの転機になったという。 「ずっと三浦春馬さんが好きで、その舞台ではドラァグクイーンのローラ役を演じていたんですが、もうセリフ一つひとつに鳥肌が立ってしまって。すごく魂が震えたというか、言葉のパワーをものすごく感じたんですよ。『ああ、これだ!』と自分の中でビビっときたので、まずは舞台と同じようなジェンダーミックスの環境に身を置こうと、歌舞伎町のショーパブでダンサーとして働き始めました」  思い立ったらすぐ行動。これこそ、ともちんぱさんの世渡り上手な処世術と言えるだろう。

渋谷のギャルカフェで働いた3年間が原点

ともちんぱ

ともちんぱさんのインスタグラム(@pani4_tomo/)より

 その後、知人のニューハーフに「パラパラダンスの方が向いている」と言われ、ユーロビートに合わせた独特の横揺れダンスに衝撃を受ける。 「ギャルに関連する漫画や書籍を読んでいくうちに、『ギャルってすごい!』と思うようになって。本当に目から鱗のことだらけで、『これを社会に落とし込んだらやばい』と感化されたんです。そこから、ギャルメイクを学んだり、少しだけギャルのアイドルグループに入ってみたりと、ギャルの世界に興味を持つようになりました」  ギャルの実態を調査するため、ともちんぱさんは渋谷にあるギャルカフェ「10sion(テンション)」で働くことに。 「初対面でも敬語禁止」、「お店に入ったら、皆“マブダチ”」、「乾杯は元気に“ちょりおつ”」など、ギャルカフェ特有のユニークなルールのもと、3年間スタッフとして接客を経験する。 「ギャルカフェの3年間があったからこそ、今の自分があると言っても過言ではないほど、本当に濃い時間でした。私自身、根が真面目なところがあって、それがちょっとマイナスに働くこともあったんですよ。完璧主義というか、どうしても追い求めちゃう部分があって。でも、それを全部ぶち壊すことができた。嫌な感情は我慢しない。言いたいことは遠慮せずに言う。これって、今の日本に必要なスパイスだなと感じました。実はギャルカフェで働いていた際に出会ったのが、ギャル式ブレストを立ち上げたバブリーちゃん(竹野理香子)だったんです」
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ギャル式ブレストで社会の掟という“呪い”から解き放つ
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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