更新日:2023年05月23日 17:34
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JR東日本は鉄道だけの会社じゃなかった?「収益の約半分をITに」の気になるナカミとは

Suica最大の大変革が進行中

Suica JR東日本のIT企業化の鍵を握るのはずばりSuicaです。  今、Suicaはサービスが開始された2001年以降、最大とも言われる大変革の真っ只中にあります。その変革とは「センターサーバー方式」によるSuica改札システムの導入です。  これまでSuicaを活用した運賃計算はそれぞれの自動改札機によって処理されていました。その方式を刷新し、今後は情報をサーバーに送り、サーバーによって運賃が計算されるシステムへと移行されます。この方式は2023年5月27日から北東北3エリア(青森・盛岡・秋田)で導入され、以降エリアが拡大する予定です。 「センターサーバー方式」の画期的なところは、これまでよりも複雑で多様なサービスに対応できるようになる点です。  実はローカルの改札機は難しい処理をすることには不得手という弱点がありました。具体例をひとつあげると、エリアまたぎがあります。Suicaの利用においては同じJR東日本の中でも「首都圏エリア」「仙台エリア」「新潟エリア」の3つの区分があります。これらのエリアをまたいだSuicaの利用は現状ではできません。羽越本線新発田駅から東北本線、陸羽東線、石巻線の小牛田駅に行きたい場合はSuica利用ができないのです。

Suica内で一連のサービスが完結する未来

 その理由のひとつに改札機による計算能力の限界があります。しかし、現状よりも性能が向上される「センターサーバー方式」ではこういったエリアまたぎも可能となります。エリアまたぎの解消は「センターサーバー方式」による性能向上を示す一例です。今後の可能性はエリアまたぎだけには留まりません。  例えば時間帯や曜日によって運賃が割引になるということも可能となります。出勤のピークを外した時間に乗車するだけで運賃が割引されるということも今後はあり得るということです。  この他にも各種サービスとの連携も容易になります。具体的には、買い物の特典として運賃割引が付与という活用もすでに想定されています。  Suicaで買い物をしたら割引クーポンがプレゼントされ、次に電車での移動を利用する際には運賃が割引される。こんな活用が近い未来には実現するでしょう。普段使っているSuicaが今よりも便利にお得になる日が近づいています。
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JR東日本のIT改革が止まらない
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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