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「わずか2年でスマホ事業撤退」のバルミューダフォン。強みを活かせず“失敗”に終わったわけ

 5月12日、バルミューダがスマートフォン事業からの撤退を発表しました。携帯端末への新規参入を明らかにしてから、わずか2年での事業終了となりました。 「バルミューダフォン」は価格が10万円以上もするわりにスペックが見合わなかったために、消費者から酷評の声が相次いでいました。  ただ、この失敗からは教訓が得られることも確かです。

携帯電話以外の家電は旺盛に成長

バルミューダ

バルミューダ携帯電話事業の売上高 ※決算説明資料より

 バルミューダの携帯電話事業は、初年度の2021年12月期の売上高が28億4700万円となったものの、翌2022年12月期は7割近く減少して8億6800万円となりました。  同社は2022年12月期売上高の期首予想を、前期比0.2%増の184億1000万円と保守的に予想していました。実際の着地は前期よりも4.3%低い175億9500万円。この期は主力のキッチン家電が前期比12.5%増の108億3700万円、空調家電が同13.4%増の37億9800万円と好調でした。  それでも減収を避けられなかったほど、バルミューダフォンの販売不振に苦しんだのでしょう。2021年12月期4Qの売上総利益率は38.8%でしたが、2022年12月期同期間は25.8%まで下がっていました

“バルミューダの強み”とは

 携帯電話事業の失敗は、バルミューダの強みが何なのかを見直すと浮かび上がってきます。会社の強みとユーザーが携帯電話に求めていたものの不一致が、販売不振に繋がったと考えられるためです。  2020年12月に上場していますが、その会見で寺尾玄社長は体験価値を提案できるのが自社の強みだと話しました。成熟した典型的レッドオーシャンである家電という分野において、後発組でも成功できた原点がこの言葉にあります。  日本の家電メーカーは製品の機能性を高め、競争力を磨いてきました。やがて機能面が飽和すると、価格競争に陥って薄利多売ビジネスへと変化します。これが、人件費が安く安価で製品を送り出すことができた海外メーカーに市場を奪われる一因となりました。
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機能性を度外視してデザインに振り切ったが…
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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