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「わずか2年でスマホ事業撤退」のバルミューダフォン。強みを活かせず“失敗”に終わったわけ

ユーザーはスマホに何を求めるか

 サムスンは2019年に15歳から39歳までの男女を対象として、スマホに対する意識調査(スマートフォンの機能に対するミレニアル世代の意識調査)を行っています。その中で、「趣味嗜好に合わせて最適な機能を持つスマートフォンを選んで使いたいと思うか」という問いに対して73.3%が思うと回答しています。  また、端末を購入する際に重視する機能に関する問いでは、「高画質なカメラ機能」が30.6%、「ファイル容量(26.2%)」「バッテリースペック(24.6%)」「高いコストパフォーマンス(24.6%)」と続いています。  ユーザーの多くは「思い出を綺麗に残したい」「SNSで綺麗な写真をシェアしたい」などの理由で、高画質のカメラを求めていることがわかります。それはファイル容量が十分なことも同様です。また、持ち運ぶ時間が長いスマホは、バッテリーが長持ちすることが必須となってきました。

ターゲットを絞っていたらあるいは…

 デザイン性がいくら高くても、性能が劣る機種をユーザーは選ぼうとしないのです。それはスマホが家電という領域から抜け出し、生活のパートナーとなって無限の可能性を与える存在になったことを物語っています。  日本ではIBMから技術提供を受けたラピダスが、超最先端技術の2ナノ半導体の大量生産化に向けて歩み出しました。投資額は5兆円という途方もない数字ですが、この技術を開発する理由の一つに性能の拡張があります。それほど、機能性が求められているのです。  バルミューダの携帯電話開発は、ユーザーのニーズから明らかに外れていました。また、自社にスマホの製造・開発技術がなく、京セラに委託していたことから、機能や性能にまで目が行き届かなかったのでしょう。  もし、バルミューダフォンが、高齢者向けや子供向けなど、機能が限定されるターゲット向けに開発されていたら、今とは見え方が違っていたかもしれません。 <TEXT/中小企業コンサルタント 不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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