エンタメ

「あくまで“かっこよく稼ぐ”」現役ラッパーの経営者としての顔。“二面性”で抱えた葛藤の先に/AK-69インタビュー

“AK-69”と“武士尋己”の二面性が生み出す葛藤

武士尋己 現在も日本を代表するラッパーとして活躍する一方、2社を経営する社長という立場でビジネスを牽引する武士さん。ラッパーと経営者では、どのようにマインドを切り替えているのだろうか。  アーティストとして、かっこよさを追い求めるべきか?  経営者として、予算の兼ね合いも踏まえ、落としどころを考えるべきか?  “AK-69”と“武士尋己”の二面性が生み出す葛藤を抱えながら、最終的には“AK-69”を優先してきたという。
ライブ

ライブで観客を盛り上げるAK-69(Flying B Entertainment 提供写真)

「ライブの音響やライティング、演出などはセルフプロデュースにずっとこだわっていて。これは名古屋時代から全く変わっていないんです。経営者になっても、プロジェクトの発案や実行は自分主導でやりますし。エンターテイメントって、『これをやったら安パイだな』というのがないんですよ。  他の業界だと、サービスや商品を営業し、売れたぶんだけ利益を上げられるけど、エンターテイメントは生産性を高めたところで、成果が出るわけではない。人を感動させ、楽しませてなんぼの世界なので、予算面で物理的に難しいことでも採算度外視で勝負をかけることも非常に大事なんです」

ここぞという「勝負どき」には採算なんて度外視

武士尋己 お金をかけた先には、すごい良いアイデアが生まれ、大きな成果につながる可能性がある。だが、予算内に収めて安パイに進めようとすると、目指している方向が変わり、陳腐なものになってしまう。  そうならないよう、常に意識を巡らせ、“ここしかない勝負どき”には捨て身で挑む覚悟を持って、全力投球するという。 「守りに入って音楽活動していても、一生後悔するなと。だったら、1%の可能性があるなら、それに賭けてみたい。昔から、周りに反対されても引き下がらないんですよ(笑)。どうやったら提案が通るか、プロジェクトが成功できるかを執念深く考え、取り組んでいく。  エンターテイメントを通して、最高の感動や興奮を伝えるのに、予算に囚われてしまっては意味がないわけで。もちろん、大赤字になって莫大な損害を被るリスクを背負うことにもなるので、本気で挑む姿勢を持ち、努力を積み重ねるのは当然です。ただ、こうした必死さが見ている人たちに伝わると思うんです」
次のページ
努力は標準装備、信条は“かっこよく稼ぐ”
1
2
3
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

記事一覧へ
おすすめ記事