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「あくまで“かっこよく稼ぐ”」現役ラッパーの経営者としての顔。“二面性”で抱えた葛藤の先に/AK-69インタビュー

努力は標準装備、信条は“かっこよく稼ぐ”

背中

AK-69の背中(Flying B Entertainment 提供写真)

 コロナ禍においても、国の重要文化財である名古屋城や、モータースポーツ界の聖地・鈴鹿サーキットで無観客配信ライブを行うなど、前代未聞のプロジェクトを成功させ、大きな反響を生み出した。 「実を言えば、俺は根がぐうたらなので、サボりたい気持ちもあるんです。でも、夢に向かって努力し続ける『AK-69』がそんなんだったら、かっこつかないじゃないですか。自分の人間性がわかっているからこそ、ケツに火をつけて自分を追い込むんです。人がやらないことに挑戦しないと、新しい結果なんて生まれない」  他方、武士さんは「経営者としての才覚は、15年来の友人であるサイバーエージェントの藤田晋さんと比べて、スケールが違いすぎる」と話す。 「藤田さんは投資する数字の桁が違いすぎて。比べものにならないですよね。お金の稼ぎ方って、色々あると思うんですよ。その中で俺が誇りに思っているのが『Make Money』に特化していないこと。人を感動させ、興奮させ、熱狂させる。お金は後からついてくると考えていて。あくまで“かっこよく稼ぐ”ことに、ずっとこだわっているんです

想定内の赤字は「あくまで先行投資」

武士尋己 今後の展望について、武士さんは「ヒップホップシーンで、若手のかっこいい奴らが正当に評価される土俵を作りたい」と語る。 「俺がキャリアを重ねてきたなかで、日本のヒップホップシーンは今、一番盛り上がっているので、いつか俺がシーンから身を引くときが来ても、ヒップホップアーティストとして音楽業界を揺るがすような若手を見出し、フックアップできるような体制を作っていきたい」  ラッパーとして、経営者として、現状にあぐらをかかず、大きな目標に向かって努力と挑戦をやめない。そんな闘い続ける背中と真っ直ぐなメッセージが、多くの人の心を動かすのだろう。 <取材・文/古田島大介、人物撮影/林直幸>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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