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『美少女戦士セーラームーン』主演の三石琴乃「フリーランスになる決意をしたのは、子どもの幼稚園の行事に参加したかったから」

●「日本のアニメはすごい」と思わせてくれたのは海外のファンたちだった

_TAK0719――大人気で長寿シリーズとなったこの作品に関わることが夢だったというスタッフ、声優も多いと思います。そういった言葉をかけられることはありますか? すごく多いです。この映画でも、ゲストで来てくれる声優の子たちが男女問わず本気で「好きです」と言ってくれますし、宣伝で一緒に取材を受けているなかで会話しても、愛の深さが伝わってきます。そんなに大事に思ってくれてたんだ…と感激します。やってきてよかったと思う出来事ばかりです。 ――特に印象に残っていることは? 『Crystal』シリーズが動き始めたときの、セーラー戦士たちのオーディションですかね。。最終オーディションは、私もスケジュールが許す限り参加して、セリフの掛け合いをしました。うさぎちゃんとのバランスを見てもらう為だったんです。それだけで感激して泣いてしまう方もいました。 みんなの心のなかにこの作品が生き続けていたんだ…とうれしくなっちゃう。でもオーディション中は、盛り上がるわけにはいかないので、その気持ちだけそっと受け取って(笑)。 ――アニメーターなど製作陣にも、同じ思いを持っている人がいるのではないでしょうか。 『Crystal』が始まった頃、東映アニメーション本社に行ったことがあって。“「(美少女戦士)セーラームーン」に関わりたくて、この会社に入りました”って伝えてくれた子がいました。こんなに大きくなって…とハグして、私もウルッとしちゃいましたね(笑)。 ――「美少女戦士セーラームーン」シリーズは海外にもファンが多いですよね。海外からの反響はどのように受け止めていますか。 アメリカなど、海外のコンベンションに何度か行ったことがありますが、その熱量はすさまじかったです。初めて行ったのは、「Crystal」が始まる随分前だったと思うんですが、その大歓迎ぶりには驚きました。 当時の日本ではクールジャパンやコスプレ文化が定着する前だったので、大人になったから卒業するというスタンスはまったくなく、全身コスプレをしている人や、作品への愛を語って涙する人がたくさんいて、びっくりしました。 ――僕の友人のフランス人女性が、グッズをたくさん持っているだけでなく、セーラームーンのタトゥーをお腹に大きく入れています。海外留学した際に、異国の生活に慣れず心が折れそうになったが、一時帰国をして「勇気を持って戦うセーラームーンと一緒に、自分も強くなるんだ」という気持ちでタトゥーを入れて、留学を乗り切ったそうです。世界中でいろいろな人の心の支えになっているという。 (タトゥーの写真を見ながら)わー、すごい。子どもの頃に心の中のピュアな部分に響いたものは、一生の支えになるっていうことですね。海外を含めて大勢の方に知ってもらえる作品に出会えたことは、本当にありがたいです。 日本では「アニメーションは子どものもの」という概念がどこか払拭できずにいて、自分もそう思っていたんです。「日本のアニメはすごく質が高いんだよ」「世界に誇れる文化なんだよ」って気づかせてくれたのは、コンベンションで出会った海外のファンたちだったんです。 でも、海外で吹き替え版が放送されたときは、その国の文化に合わせたオープニングに作り変えられていて、特にアメリカ版では、敵をやっつけるんだ!BAAAAN! みたいなちょっとテイストの違う感じになってるんです(笑)。 切ないケレン味のある作風は日本独特の文化みたいです。でも、その後の人気とともにオリジナルを見てもらえるようになり、アニメで日本語を学んだという勤勉な外国の方も多いんですよ。 今回の映画もたくさんの人にみてもらえたらうれしいです。
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請求や原稿チェックなど事務作業はすべて自分で
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