スタジオを借りれば当然費用が発生する。スタジオのハシゴをすれば出費がバカにならないため、リリース本数の多いメーカーや、SM専門メーカーなどイメージ的に撮影場所が限られる場合は、自社スタジオを持っている場合が多い。 　スタジオには既定の時間があり、レンタル時間を超えれば延長費を払うしかない。香盤通りにいかなければ管理人への連絡や、撤収作業を猛ダッシュで行わねばならず……と諸々のプレッシャーがかかるので、現場は常に時計とのにらみ合いだ。 　その点、自社スタジオは経費を節約できるほか、後ろの時間を気にする必要がない。もちろん現場が伸び伸びになれば上から怒られるだろうけど、コスパ面は明らかにスタジオレンタルを上回る。 　だいたい自社スタジオはメーカー本部の近くに作られているのが一般的なものの、稀に遠方にポツンと存在するケースもなくはない。 　大人同士の密やかな楽しみを存分に堪能できる場所、それがブティックホテル。「え、そんな言い方があるのかよ」というツッコミは置いておきつつ、ホテルとビデオ業界の関係性があまり密接ではないことをここに書き記そうか。 　あちこちのブティックホテルでばんばん撮影していそうに思えるものの、実は違う。なぜなら、元から複数名での利用が難しく、例えば「男性2名・女性1名」の利用も断られ、撮影機器の持ち込みに関しても厳しいところがほとんどだ。そのため、それなりの人数でワラワラと出入りして大きな撮影道具を持ち込むビデオ撮影は、いい顔をされない。 　カメラを入れて作品を作るとなれば尺が必要だ。回転率重視のホテルだとずっと一室を使われ続けるのは困るし、人の出入りが激しいと一般の利用客に迷惑がかかる。そのため、成人向けビデオの撮影をOKするブティックホテルは数が限られており、利用できるホテルは時間がキッチリ決まっているとか。また、「二部屋分の料金を払えばOK（実際に使うのは一部屋だったとしても）」など、条件が定められているケースも多い。 　YouTuberは有名ホテルで撮影を行っていることもあるようだが、あくまでYouTubeだから許されている話。恐らくセクシー業界とはまた扱いが異なるのであろう。