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“タワマン節税”に国税庁のメス。富裕層の嘆き「相続が3代続くと財産はなくなる」

賃貸経営で訪れる16年目の3つのリスク

 それでも地主や投資家が収益不動産を持っていると、相続税などの節税効果は大きい。しかし、賃貸経営をしているとほぼ同時期にやってくるのが「支出の増加」「大規模修繕の発生」「家賃の下落」という3つの壁だという。 「賃貸経営をする際に必ずといっていいほど直面するこれら3つの壁は『16年目』にやってきます。私はこれを『魔の16年目の壁』と呼んでいます。  賃貸経営開始後16年目は、設備の減価償却が0円になる年です。減価償却とは簡単に言えば支出のない経費、または所得の控除で、法定耐用年数の間は所得税を軽減することができます。ところが、減価償却が終わると控除できなくなるため、所得税、住民税、事業税などの納税額が増加し、手残りが減ってしまいます。  そして、ちょうどこの頃訪れるのが大規模修繕です。賃貸経営において、築15年前後に外壁などの防水工事や水回り設備の交換などの大規模修繕を行わなければなりません。これを疎かにすると、建物の劣化スピードが急に速まり、空室の増加に繋がってしまいます。  家賃の下落は16年目で急に下落するわけではないですが、新築時から徐々に下がっていくもの。古くなれば家賃が下落して収入が減る、というリスクは大いにあり得るものです」(同)

収益不動産の3つの魅力

 収益不動産の魅力が薄れているように感じるかもしれないが、不動産投資にはやはり他の投資にはない魅力がある。 「一つはこれまでも説明してきた節税効果です。タワマン節税はできなくなる方向ですが、そもそも土地やマンションなどの不動産の評価額は時価よりも低く、1億円で不動産を購入すれば評価額は4,000万円程度に下がり、相続税の節税効果は依然としてあります。減価償却も償却期限はありますが、節税効果があります。  そして、多くの人が思い浮かぶ収益不動産の魅力は家賃収入でしょう。不動産は何年、何十年と家賃による利益を生み出し続け、物件によっては手放すときにも利益を出す非常に効率のいい資産で、これはほかの資産には見られない特性です。  ただし値上がりする確実な保証はなく、地主や富裕層にとって資産防衛の手段としては不向きともいえます。こう考えれば注目すべきは、値上がり益よりも家賃収入で、家賃収入は手間をかけずに非常に長い期間資産を守ることができるという魅力があります。  そして3つ目が、借入ができるという点です。一般的に株式投資やFXなどの場合、投資資金を金融機関からの融資で調達することはできませんよね。しかし、不動産の購入資金は金融機関からの融資、いわゆるアパートローンで調達することが可能です。資産運用のための資金を銀行からの融資でまかなえるのは、不動産だけです。  例えば手持ちの1億円で利回り5%とした場合、1年後の収入は500万円となります。しかし、自己資金1,000万円で9,000万円の借入を行って1億円の運用ができれば、1,000万円で500万円の収入を得ることができるわけです。融資を利用して資産運用できるということは、このようなレバレッジ効果を利用できるということです」(同)
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アパートローンは入居者が支払ってくれている
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ライフマネジメント株式会社代表取締役。1976年、神奈川県相模原市生まれ。高校時代は日大三高の主力選手として甲子園に出場。東京六大学野球に憧れ法政大学へ進学。大学卒業後、住宅業界を経て起業。「地主の参謀」として資産防衛コンサルティングに従事し、この10年で数々の実績を生み出している。また、最年少ながらコンサルタント名鑑『日本の専門コンサルタント50』で紹介されるなど、プロが認める今業界注目の逸材。 ラジオ大阪OBC(FM91.9 AM1314)にて、毎週水曜日19:45~20:00「松本隆宏の参謀チャンネル®︎」を放送中。 著書に、『地主の参謀―金融機関では教えてくれない資産の守り方』(2018年、エベレスト出版)、『アスリート人材』(2022年、マネジメント社)、『地主の決断―これからの時代を生き抜く実践知』(2023年、サンライズパブリッシング)、『地主の真実―これからの時代を生き抜く実践知』(2023年、マネジメント社)、『プロたちのターニングポイント』(2024年、サンライズパブリッシング)、 『アスリート人材の底力 折れない自分のつくり方』(2024年、サンライズパブリッシング)がある。

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