仕事

「自分のバカさ加減を心底後悔」後輩育成に熱を入れ過ぎた43歳“自動車整備士”の嘆き

同僚の進言で勘違いに気づく

 そんなある日、大泉さんは営業所長から梶原くんのことについて話があると呼ばれます。 「てっきり、指導が褒められるのかと思いきや、全くその逆でして、私の過度な業務指導が理由で梶原くん本人が心身ともに疲弊していると言われたんです」  ことの発端は、梶原くんが同僚に苦しい胸の内を相談していたらしく、本人いわく「大泉さんの指導がかなり高圧的で、決して意見できるような状況でもない」とのこと。それを聞いた同僚がたまりかねて所長に進言したのだと言います。大泉さん的には全くの青天の霹靂だったようで、意気消沈してしまったそうです。 「所長に呼び出されて、はじめて自分の指導が行き過ぎていたことに気づいたんです。本人も興味深そうに受け答えしていましたから、てっきり喜んで知識を身につけているんだと勘違いしていました。後から気づいたのですが、親御さんより少し年下なだけの私に対して意見なんてできませんよね……。後の祭りですが、申し訳ないと思っています」

自分のバカさ加減を心底後悔

自動車整備 大泉さんは、上司に自身の行動を反省し改善すると、改めて申し出たそうです。その後、梶原くんにも自身の過熱気味な指導を謝罪したそうですが、否定も肯定もせず小さくうなずくだけだったそうです。 「今回のことは、自分が悪いと思うので改善したいとは思うんですが、何が相手にとって圧力に感じてしまうのかがますますわからなくて。だからと言って、新人指導をぬるくて、優しく当たり障りの無いようにっていうのも違う気がしません? それが独りよがりなんですかね。でも、全国から来てくれる輸入車ファンの方々に喜んでもらいたいのも正直な気持ちですが、今回の件は本当に反省しています」  大泉さんは、自身が勝手に舞い上がった熱血指導を心底後悔すると同時に、改めて後輩扱いが難しいと感じたそうです。結局、梶原くんはその後しばらくして退社したとのことでした。 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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