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「自分のバカさ加減を心底後悔」後輩育成に熱を入れ過ぎた43歳“自動車整備士”の嘆き

 飲み込みが早く、真面目になんでも取り組む部下が目の前に現れたら、指導に力が入ることは言うまでもありません。少しでも多くの技術やノウハウを惜しみなく伝授したくなることは自然なことです。ただ、何事にも「限度」という垣根があることも忘れてはいけません。今回は、そんな力を入れすぎた指導があだとなってしまったエピソードです。
自動車整備

※画像はイメージです(以下同じ)

入社してきた期待の新人

 輸入車販売会社に勤務する大泉さん(仮名・43歳)は、メカニックとして今まで数多くの輸入車を修理してきたそうです。彼を頼って遠方から訪ねて来る輸入車ファンも少なくないほど、この業界では名の知れた存在だと言います。  そんな大泉さんの部下として、その年も新人が数名入社して来ました。その中でも梶原くん(仮名・23歳)という男性が特に優秀な人材だったそうです。 「まれに見る優秀な人材が入ってくれたんです。ここ数年の新人は、やる気がないというか気力がないというか、正直可もなく不可もなくといった感じだったのですが、梶原くんは言葉遣いや行動の一つひとつが丁寧で、それでいて積極的に質問とかしてくれて……。とにかく久々に会社に行くのが楽しみになったのを覚えていますよ」

惜しみなく注いだノウハウ

 梶原くんは、他の誰よりも熱心にメモをとり、大学で自動車部に所属していたせいか、かなりの知識を持っていたそうです。そのうち、大泉さんは新人には教えないような高度な技術から、損保会社への交渉術まで、あらゆるノウハウをレクチャーするようになったと言います。 「いや~、想像以上に熱心で、こっちが驚かされるくらいでした。教えたことはどんどん吸収しちゃうし、基本的なことはもともと頭に入っているし、正直言って今働いているどのメカニックよりも戦力になるんじゃないかなって思います。即戦力とはまさにこのこと!って感じで、気づいたら新人に教えたことのない知識まで教えちゃって……。結構長いこと色んな後輩見て来てますけど、過去一の新人だなとつくづく思ってました」  ただ、梶原くんへ熱心な指導がいつのまにか度を超えていて、「勤務時間が大幅に超えることもしばしばあった」と言います。
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同僚の進言で勘違いに気づく
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愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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