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“家庭を持ちたくない”男性が見た父の背中…「借金1000万円を抱えて姿を消した」

“避難先”の図書館で勉強に没頭

 この体験は、現在に至るまで影響を残している。 「電話やインターホンの音が怖くて仕方がない時期がありました。現在は少し回復しましたが、それでも積極的に聞きたいとは思わない音ですね」  もはや自宅に安全な場所などなかった鈴木氏の避難先は、図書館。読書や受験勉強に没頭し、偏差値はうなぎ登りだった。当然のごとく一流大学の附属校に合格したものの、高校生活は必ずしも薔薇色ではなかったという。

奨学金に加えて、特例でアルバイトを解禁してもらう

「両親は私の高校入学あたりに離婚して、私たちは借金の督促から解放されました。進学先は私立なので、母親にはかなりの負担を掛けたと思います。奨学金など貰えるものはすべて貰ったうえで、学校側には特例措置として、基本的に禁止されているアルバイトを認めてもらっていました。  学校が終わってから清掃のバイトをして、疲れて帰ってきての癒やしは読書でした。朝方まで読みふけって、登校しても授業中は寝ているので、成績は下位のほうでした。  当時の友人からは『不良じゃないのにやさぐれた高校生だったよね』なんて言われます。教師もきっと私の状況を知っていたので、寝ていてもあまり注意してこなかったんじゃないかと思います
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「借金1000万円」を抱えて姿を消した父のその後は…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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