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“家庭を持ちたくない”男性が見た父の背中…「借金1000万円を抱えて姿を消した」

普通の父親とそう変わらなかった?

 籍を抜いても、波紋はなお大きい。鈴木氏の父親は、どのような人物だったのか。「記憶はほとんどない」としながらも、氏は次のように話した。 「小学生時代は公園で遊んでくれたり、釣りに連れて行ってくれたり、普通の父親とそう変わらなかったように思います。ただ、家では無口でずっと黙っている印象でした。休みの日も本を読んでいることが多くて、基本的にはインドアだったと思います。  これもあとから聞いた話ですが、外面がよく、飲み屋に行くと奢ってしまう癖があったらしいのです。推測に過ぎませんが、家庭に癒やしを求められなかった人だから、外で発散していたのかもしれません

「借金1000万円」を抱えて姿を消した父のその後は…

 総額1000万円にものぼる借金を抱え、その使途も不明なまま、鈴木氏の父親は忽然と姿を消した。伝聞では勤めていた企業は退社したとのことだったが、その後の行方は杳として知れなかった。  そんな父親に対して、鈴木氏は何を思うのか、 「父親は3年くらい前に死んだらしく、役所から連絡が来ました。20年近く、連絡も取らず、会わずに最後はその通知だけでした。改めて親子って何なんだろうと思ってしまいます。  私には、自分をなかなか他人にさらけ出せずに壁を作りたがるところがあります。もしそれが父親譲りだとしたら、借金の理由も想像がつきます。きっとくだらないことに使ったのが最初で、それを誰にも相談できないまま雪だるま式に増えて、徐々に自暴自棄になったのかなと。そうだったとして、私たち家族が被ったものを全部許せるわけではないのですが、かといって恨むこともしていません」
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まったく家庭を持ちたいと思えない
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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