ニュース

ロシアが世界からの批判をシカトし続ける“本当の理由”。ロシアの「裏」にあった意外な思想

「生存圏の確保のためには他国侵略もやむをえない」

経済で読み解く地政学 ハウスホーファーは、完全に縄張り意識を重視した圏域思想でもって、国家が自給自足するために必要な生存圏(レーベンスラウム)のために、国家にとって必要なものはすべて自分たちの勢力下に収めるべきであるという思想の持ち主でした。  彼の地政学では、国家を一つの有機体として捉え、我々が食べ物を食べなければ死んでしまうように、国家が生存するためには栄養を確保する必要があると考えます。そこで、国家が生きるために必要な資源や土地(生存圏)を獲得しなければならないと考えました。  ただ、資源や土地を奪い合えば、当然争いが起きます。仮に複数国家で土地を奪い合った場合は、その中で最も強い民族が最終的にはその土地に君臨する。  結果的に、世界は地域ごとの強者が支配する圏域に分かれた、多極化世界が、バランス・オブ・パワーで話し合いをしながら国際秩序を決めていく「パン・リージョン(統合地域)理論」を打ち出しました。

「ドイツは欧州の覇者に、日本はアジアの覇者に」という帝国主義

経済で読み解く地政学「パン・リージョン」とは、世界を縦割りに三つか四つのブロックに分けたものを指します。  ハウスホーファーはそれぞれのブロックをアメリカ、ソ連、ドイツ、日本などの強国が指導するという未来を予想していました。それぞれの地域が牽制し合いながらパワーを均衡させることで、世界が安定すると考えたのです。  極めて帝国主義的な発想でしたが、国際関係論における勢力均衡政策(バランス・オブ・パワー)と解釈すればそれほど無理のある話ではないと思います。
次のページ
実は「日本びいき」だったハウスホーファー
1
2
3
1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

記事一覧へ
経済で読み解く地政学

大転換期を迎えた
世界の構造が丸わかり!

おすすめ記事