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ロシアが世界からの批判をシカトし続ける“本当の理由”。ロシアの「裏」にあった意外な思想

ハウスホーファーは日本語の読み書きもできた

経済で読み解く地政学 ハウスホーファーがつくったドイツ地政学は、ヒトラーに大きく影響を与え、ナチスはドイツの生存圏を広げ、ヨーロッパの覇権を握る直前までに権力を拡大させました。  なお、アジア地域を日本が支配すると予想した理由は、彼が相当、日本びいきだったからだと言われています。ミュンヘン大学の博士号論文は「日本におけるドイツの影響」というタイトルで、日本語の読み書きもできたそうです。  ニュルンベルク裁判では戦争犯罪人としての訴追を免れますが、翌年の1946年に服毒の上、切腹自殺を遂げたと言われています。

実は歴史的な独裁者のアドバイザーだったハウスホーファー

経済で読み解く地政学 ドイツ地政学の5つ目の要点「ソ連とのランドパワー同盟による世界支配」ですが、これはマッキンダーの「東欧を制する者は世界を制す」というテーゼをそのままドイツに当てはめたものです。  ソ連が誕生して東欧がソ連の支配下にあるなら、「ドイツはソ連と組めばいい!」と単純に考えた結論だったようです。ハウスホーファーはこの5番目のテーゼを実行に移すため、個人的にも活動を始めます。  先ほど紹介した奥山真司さんの『地政学』には以下のような衝撃的な事実も書かれています。 ***  これはあまり知られていない事実であるが、ハウスホーファーはソ連の独裁者、スターリンの個人的なアドバイザーであった。1920年代の初期から、なんと当時のソ連の独裁者だったスターリンに、自分の地政学分析の結果を定期的に送っていたのである。 (中略)  これを考えれば、なぜソ連は、冷戦時代にハウスホーファーの理論をそのまま実行に移したようなふるまいをしていたのかが納得できる。 (中略)  そうでなければ冷戦期の「プラハの春」事件や、アフガニスタン侵攻などは本当の動機が全く説明できない。ソ連の掲げていた共産主義の拡大などという理念は、ただの方便にすぎなかったのである。  奥山真司著『地政学―アメリカの世界戦略地図』(五月書房)p50より抜粋 ***  さて、ハウスホーファーの地政学は直接スターリンに伝わり、長きにわたってソ連の国家戦略の下敷きにされてきました。ソ連が崩壊してロシアになったいまでも、基本的にこの地政学はまだ生きています。 〈文/上念司 構成/日刊SPA!編集部〉
1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中
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経済で読み解く地政学

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