更新日:2023年10月19日 16:52
スポーツ

“優勝”を目指していたラグビー日本代表はなぜ勝てなかったのか。背景には2つの「厳しい条件」が

“次”に向け、動き始めた日本代表の今後は…

堀江翔太

海外経験も豊富な堀江翔太

 すでに手は打ち始めている。  今年、日本協会はニュージーランド協会、オーストラリア協会と連携を深める覚書を締結した。また、国際統括団体のワールドラグビーが世界最上位層の枠組みを変える際に、日本が「ハイパフォーマンス・ユニオン」の一員となったのも今年に入ってからだ。前回大会で8強入りした実績などが買われた地位向上は、今後どう生かされるのか見ものになる。  選手個々も進歩を誓う。  26歳でワールドカップ初出場の齋藤は、アルゼンチン代表戦で得意の球出しに苦しんだとしてこう言葉を選んだ。 「この強度のなかでも(強みを生かす技術を)磨いていかないといけない。(そのために必要なことは)そういう状況をつくるとか、もっと厳しい環境で練習するということ」  体制側が国際舞台を用意するよりも前に、自らが海外へ挑む気概を示しているのだろうか。本人は「具体的にはわからないですが」としながら、「チャンスがあれば」と頷いた。  このほど4大会連続でワールドカップ出場を果たした37歳の堀江翔太は、2011年の初出場時に未勝利で終わったことからニュージーランドの地域代表戦へ挑戦。2013年にはオーストラリアのレベルズと契約し、スーパーラグビーデビューを果たしている。そのため「経験論でしかない」としながら、若者の背中を押す。 「海外へ行くのがすべてじゃないですけど、海外に行って日本ラグビーがまだまだやなと思えることがあれば、いいと思います」  ガバナンス側も、選手も、自信をつかみながらも、上には上がいると再認識できた。それがフランス大会における最大の収穫だ。 <TEXT/向風見也>
1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年にラグビーライターとなり「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」「REAL SPORTS」「THE DIGEST」「Yahoo! ニュース」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。ワールドカップ期間中は現地情報をオンラインで届ける「ラグビー反省会特別編」を実施。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など
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