更新日:2023年10月23日 10:47
カーライフ

伝説のスポーツカー「GT-R」がEV開発のレガシーに?日産“インフラ投資だけで250億円超”EV戦略の全貌

2017年の「EVのイメチェン」が転機に

 そんななか、ひとつの転機となったのが、2017年に行ったリーフのフルモデルチェンジだ。  EVの提供価値を新たに刷新し、走行中の高揚感や先進性を体現した“2代目”モデルとして発表したのである。日産のEVを手がけるエンジニアの中には、かつて“日産の象徴”と称された伝説のスポーツカー「GT-R」のエンジン開発に携わっていた人物も在籍しているそうだ。 「GT-Rはカーレースという究極のハイパフォーマンスが求められる環境下で、最高の走行体験を提供するために、エンジン音も派手でパワフルなものを作っていました。そのようなスポーツカーに乗って走るエキサイティングな感覚を、EVでどのように再現すればいいかを考え、“人が運転する気持ち良さ”を愚直に追求してきました。単なるエコじゃつまらない。乗っていてワクワクする、楽しくなるような乗り心地を実現したい。こうした開発者の強い思いを反映させ、“EVのイメチェン”を図ったのが2017年に発表した2代目リーフでした」

「試乗体験」で先入観を払拭

日産自動車

日産自動車の寺西 章氏

 だが、どんなにEVの魅力が伝わる言葉を考え、スペックを訴求する広告を出したところで、実際に乗るユーザーが自分ごと化しなければ意味をなさない。そこで、重要になるのがEVに触れる体験を作ることだ。 「EVについての先入観や固定観念なども、試乗いただくことでEVの印象が変わり、前向きな気持ちになってもらえます。通常では、日産の販売店で10~20分の試乗体験をしていただくのですが、お客様に1泊2日、EVを貸し出して休日のドライブをしていただくキャンペーンも過去に実施し、大変好評をいただきました。  長時間EVに乗っていただくことで、乗り心地はもちろんのこと、充電で気になっていた不安点についても実際に体験できるため、EVが自分に合う、合わないを的確に判断してもらえやすくなる。これが試乗体験の大きな利点になっています」
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ショッピングモールへの展示で新規層の開拓
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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