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JAL対ANA「フラッグシップ機材」40年競争の悲喜こもごも。サービス合戦で“消費者にメリット”も

フラッグシップ競争第二弾の始まりに

フラッグシップ

ANA/JALのフラッグシップ機導入の歴史(両社HPから筆者作成)

 その後、初期のボーイング747-200Bが経年化し、新たにボーイング747-400が導入された。初期のボーイング747の導入時期はANAではJALに遅れること9年も経過したのだが、次のボーイング747-400の導入時期は1990年の同年内にスタートした。  同形式の747ではあるものの、ダッシュ400型はパイロットが3名から2名で運航出来るようになり、計器がデジタル化されるなど、当時の技術の粋を結集した全く新しいと言っていい機体となった。しかし、1990年ころの湾岸戦争や、2001年のアメリカ同時多発テロなどの発生で世界経済の成長は鈍化する。  それとともに、効率化が優先され、エンジンの信頼性も上がったことから燃費効率の悪い4発エンジンのボーイング747が双発のボーイング777に取って変わることとなった。  1990年台半ばにボーイング777-200型が市場に投入され、単一クラスではボーイング747とほぼ同じ500名を超える乗客を輸送できるボーイング777-300型とエンジンが換装されて長距離を輸送できるボーイング777-300ER(エクステンデッド レンジ)がJAL、ANAともに2004年に国際線に導入開始となった。フラッグシップ競争第二弾の始まりだ。

ボーイング787の登場

ボーイング

JALの現在のフラッグシップ ボーイング777-300ER(撮影:筆者)

 ここで、ボーイング787型機について触れておきたい。ボーイング777-300ER導入の頃、ボーイングは次世代航空機の開発に着手するタイミングを迎えていた。  この機体は、それまでの金属を中心とした機体構造から炭素繊維を多用した軽くて丈夫な全く新しい機体として注目を浴びており、いち早く世界に先駆けてANAが初の発注会社となってボーイングは開発を始めた。  2011年にはANA、翌2012年にはJALが就航を開始させている。ANAは国内・国際線に使用し、JALは当初国際線専用機として就航させていた。将来の受領分も含めて、ANAはボーイング787-8/9/10の全シリーズで追加発注を入れると100機を超える機材を揃えることになる。  ANAは国際線の最重要路線には、ファーストクラスの装備されたフラッグシップのボーイング777-300ERを投入しているが、その他の中・長距離国際線にはボーイング787を多用しており、準フラッグシップ機の位置付けだ。
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エアバスA350の発注
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航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing

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