更新日:2023年11月11日 19:44
ライフ

SNSで話題“港区の魔女”の壮絶すぎる半生。「見た目はヤンキーだから寂しいなんて言えない」

孤独だった学生時代に救いとなったのは…

 その後、有名雑誌の読者モデルとして活動し、明石家さんま司会の大人気恋愛トーク番組『恋のから騒ぎ』(日本テレビ)への出演をするなど、輝かしい道を歩み出す。だが、いじめによって奥底に抱え込んだ孤独感が、意外な形で彼女の根幹を形成した。 「私の記憶のなかの私は、学校ではひとりなんですよね。ひとりで学校へ行き、ひとりで帰らざるを得なかった。しかし見てくれはヤンキーですから、『寂しい』なんて言えません。  そういう気持ちを紛らわせてくれたのは、読書でした。書籍を2冊、必ず持っていて、登下校で読むのを楽しみにしていました。主人公の人生を追体験できることが、心の栄養になっているのは今も変わりません。本好きが講じて、絵本の読み聞かせのボランティアもやっていました。  今は忙しくさせてもらっていますが、それでも月に20冊近く書籍を読みます。自宅を設計した際も、トイレに書棚を作ることを建築士に注文したほどです」

言葉で人が死ぬこともあるからこそ…

 自身を「陽キャに擬態する陰キャ」だと話すひろねぇ氏は、常に持ち続けている矜持がある。 「巡り会えた人の役に立てるように、決して裏切らないことを心がけています。たとえ途中で失敗したり、挫折を経験した人であっても、対等な人間として接することが大切だと思っています。人は、誹謗中傷などの言葉による暴力によって、簡単に生命を終わらせてしまうことがあります。だからこそ、弱っているときに石を投げるのではなく、ケアできる社会であるべきなんじゃないかなと思っています」  冒頭でも触れた通り、ひろねぇ氏はこれまでネット上で自身にあてられた誹謗中傷について、20件近くを開示請求している。 「ネット上で素性を隠して誹謗中傷を行う人は、通りすがりに目出し帽をして人の胸を刺したりしているのと変わらないと思っています。  最近、立て続けに私の友人が自死を選びました。自死を選んだ要因は複合的だったと思いますが、そのひとつに、尾ひれの付いた噂話への苦悩があったことは間違いありません。言葉は人を励ましますが、逆に言葉で人が死ぬこともあります。  私はこれまで述べてきたような生い立ちで、人生のほとんどを臨戦態勢で過ごしてきましたが、そうではない人は他人の心ない言葉で深く傷つきます。生命を投げ出すこともあるでしょう。それに対して『精神的に弱い人』『心が脆い』というのは、私は違うと思います」
次のページ
毅然とした態度は「誹謗中傷加害者」を減らすため
1
2
3
4
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

記事一覧へ
おすすめ記事