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松本人志からのしゃれた褒め言葉に喜ぶ。キングオブコント王者・サルゴリラ、幼なじみの二人で歩んだ40年

舞台袖の声に助けられた

サルゴリラ

町ではまだ声をかけられない。「コントの老けメイクのまま記者会見だったので、全然気づかれないです」(児玉)「僕は声をかけられないですけど、僕に似ている後輩のシシガシラ・脇田はもう2度『おめでとうございます』と言われたらしいです(笑)」(赤羽)

──お二人はネタ合わせのとき、台本から外れたセリフを言い合って気持ちをほぐすと話されていましたね。 児玉:そうです。といっても天才じゃないんで、そんなにどんどん違うセリフが出るわけじゃないですよ? ただ、2人で遊びながらネタ合わせをすることで緊張がほぐれる。その中から使えるセリフが出てきたりもします。本番でやった「少し考えごとしておきます。午前中に区役所行って……」というセリフも、準決勝当日、出番直前のネタ合わせで出てきたもので。 赤羽:そうそう。 児玉:準決勝ではその部分、全然ウケなかったんですよ(笑)。でも舞台袖の芸人がすごく反応してくれたから、決勝までにいっぱい試して残しました。

「まだ明日頑張れるぞ」と思った芸人の一言

サルゴリラ──優勝を決めた2本目の「青春」、通称「魚」のネタは一転、ただお二人が話しているだけというストイックなコントですね。小道具をたくさん使って段取りがたくさんあるものと、身ひとつ、会話だけで展開するものと、両極端なことをされているなと。 赤羽:決勝では「ルール」で児玉のキャラが浸透したうえで「魚」をやったので、ベストな順番で披露できたと思います。でも準決勝は、出場芸人の中で1日目が今年の新ネタ、2日目が既存のネタという流れがなんとなくあるんですよ。全然決まっているわけじゃないし、誰が言っているわけでもないんですけど。だから僕らも1日目に「魚」、2日目に「ルール」をやったら、1日目は少しウケが弱い感じがして。 児玉:そう。準々決勝で「魚」がすごくウケたから、いける! と思って1日目に持っていったんですけど、体感として準々決勝よりウケが弱くて。でも舞台袖に戻ったら、レインボーのジャンボたかおが「ソデ、大爆笑でしたよ」と言ってくれたんです。そこで救われて「まだ明日頑張れるぞ」と思ったんですよね。 赤羽:首の皮一枚繋がったなって。 ──舞台袖の芸人さんの影響はそんなに大きいんですね。 赤羽:ああ、たしかに。 児玉:いつも袖の芸人に助けられていますね。 <取材・文/釣木文恵 編集/アライユキコ 撮影/林紘輝> 【サルゴリラ】 1979年生まれの児玉智洋と赤羽健壱によるコンビ。ともに東京・高円寺で生まれ育ち、幼稚園で出会う。高校、大学はそれぞれ別の学校に進学するも交流は続き、ともにNSCに入り、2005年から2015年までジューシーズとしてトリオで活動。2016年からサルゴリラとしてコンビで活動。2019年かライス、しずる、作家・演出家の中村元樹とともに演劇ユニット、メトロンズの活動もスタート。2024年1月にはメトロンズの第6回公演が控える
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。X(旧Twitter):@troookie
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