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東急、東武、小田急、西武…“私鉄四社”で分かれた明暗。「運賃の値上げ額」が分岐点に

“不動産も強い”東急

不動産事業上半期売上高

不動産事業上半期売上高 ※各社決算短信より筆者作成

 各鉄道会社が注力する不動産事業においても、明暗が分かれています。やはり強いのが東急で、2023年度上半期の売上高は1131億円。コロナ前比で10.0%増加しています。金額においては他社とは桁違いで、しかも2桁増加しています。  物件販売と不動産賃貸業が好調に推移しています。今年4月14日には東急歌舞伎町タワーを開業しました。この施設はオープンから1か月ほどで来館者数が100万人を突破しています。

「賃貸住宅事業で遅れが生じている」東武

 不動産事業で苦戦しているのが東武。この会社は特に賃貸事業に強みを持っていますが、回復が遅れています。2023年度通期の不動産事業は、売上高607億円を予想しています。その6割近くを占める賃貸事業の売上高は347億円。前年度比で4%のマイナス。13億円程度の減収を見込んでいるのです。  コロナ前比で賃貸事業を比較すると、2019年4-9月の売上高が180億円、2023年同期間が172億円でした。やはり完全回復には至っていません。  ただし、東武の不動産事業の売上高がコロナ前と比較して3割以上減少しているのは、2019年度が異常なほど伸びたからでもあります。  この年に東武は「ソライエ流山おおたかの森」などの分譲マンションや分譲戸建て「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」などを販売し、2019年4-9月の分譲事業の売上高は124億円となり、前年同期間比で4.8倍に跳ね上がっていました。  コロナ禍で賃貸市場が縮小しているということはなく、東武の不動産事業は回復へと向かうでしょう。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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