仕事

私が障害者専門の風俗嬢になった理由。母親が射精介助するのが“普通”ではいけない

性の悩みや求めていることは一人ひとり違う

小西理恵_エッジな人々

「初めて女性の体を見た」と涙を流す人がいる

――実際に小西さんが性サービスをする相手は、どのような障害を持つ人が多いですか?  小西:障害者とひと言でいっても、身体障害、知的障害、精神障害とさまざま。大前提として、障害名が同じでも性の悩みや求めていることは一人ひとり違うということです。そのうえで、身体障害者では、脳性麻痺で車椅子を利用されているパターン。それから筋ジストロフィーやALSなど筋力が低下した障害者もいます。彼らの中には、私が訪問してもドアを開けることができない人もいるんですよね。そうなると、家族や支援者さんの協力があってこそ成り立つものだと言えます。 ――知的障害や精神障害の場合はどうですか? 小西:知的障害者は発達障害を併発している場合がよく見受けられます。言葉で伝わらない人には文字やイラストを使いサービス内容を話しますが、相手のニーズまで聞き取ることは難しい。精神障害者はうつ病や統合失調症などで人とコミュニケーションが取れず、一般の風俗店で拒否された人もやってきます。 ――本人が意思表示できない場合は、いくら家族や支援者が「性サービスを受けさせたい」と願っても、難しいという側面もあるんですよね。 小西:たとえ体が反応したとしても、お断りしています。排泄のときに勃起した姿を見て、“かわいそうだな”と思う気持ちはよくわかる。ただやっぱり本人の同意がないと、性加害になりかねないですから。それに本人の意思とは関係なく、勃起してしまうこともあるんです。

「初めて女性の体を見た」と涙を流す人も

――同意を経て行われるサービスには、どのようなコースがあるのでしょうか。 小西:“ただ女性と触れ合いたい”と思っている障害者であれば60分5000円の「デートコース」、重度の障害があり自身でマスターベーションができないとなると手のみで射精ができる30分7000円の「射精介助コース」を利用する方が多いです。ただ一番人気は、60分1万8000円の「ヘルスコース」。平均して5月10件ほどの成約があります。利用者の年齢層は20〜70代と幅広いですが、40〜50代がコア層。一度利用された7〜8割がリピーターになっています。 ――ヘルスコースのプレイに関しては、利用者から何か要望もあったりするんですか? 小西:私がSMクラブで働いていたことを知ってる方には、縛られたいとかアブノーマルなことを求められることもありますが、「出血がなければOK」と伝えています。ただ「普通がいい」という声がほとんど。「初めて女性の体を見た」と涙を流す人もいる。必ずしも、勃起や射精がゴールではないんです。
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“介助ができる風俗嬢”
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