「射精するまで陰部を洗い続ける青年がいて…」障害者向け風俗の代表が、ヘルパー時代に目の当たりにした“障害者と性”の問題
障害者と性の問題はタブー視されがちだが、当然、障害者にも健常者と同様、性欲はあり、専門の性風俗店も存在する。
障害者向けデリバリーヘルスサービスの老舗、はんどめいど俱楽部の代表 ショウ氏(53歳)に障害者と性の実態を聞いた。
はんどめいど俱楽部は、今年でオープンから13年目だ。代表のショウ氏は専門学校を卒業後、レジャー業界で会社員をしていたが、うつになり退職した。その後、同業界に戻ろうとしたが、不景気の煽りを受け、再就職は難航した。35~36歳の頃、福祉職に転職し、訪問介護事業所に勤務する。
「有効求人倍率が、10倍くらいだったので、消去法で福祉の仕事を選びました。収入源の確保のために、障害者のヘルパーをしていました」
ヘルパーとしての仕事を通じて、障害者の性の問題を知ることとなる。
「知的障害がある自閉症の青年の入浴介助をしていたんです。ずっと同じ場所を洗うので、右足・左足……など順番を指示していました。陰部を洗う時のみ、次の場所にいかない。結局、射精するまで、洗い続けました」
その光景を見て、その青年は普通に自慰行為をせず、洗体しながらするのだと気づいたという。だけど、周囲の福祉関係者もそういった場に遭遇するはずなのに、ケース会議で話題に上ることはなかった。
「その時に、Googleで障害者と性について調べました。社会問題化しているし、同時にタブーであることも知りました。同業者も見て見ぬふりをしていた。何とかする人がいてもいいんじゃないかと思いました」
訪問介護事業所での勤務経験を3年経た後、「にわかだと思われないように」、介護福祉士の資格も取った。
異性が射精を介助すると、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の許可が必要だ。
「それなので、自分がボランティアとして、射精介助をしようと思いました。ですが、すぐに同性では需要がないと分かりました。男性の性欲にはメンタルが大きく影響します。バイセクシャルやゲイでもない限りは、同性ではどうしても勃たない。だから、女性が射精介助できるように風営法の許可を取ることを考えました」
訪問介護の現場で知った“障害者と性”
陰部を洗い続ける知的障害者の青年
ニーズがなかった同性による射精介助のボランティア
ライター。webサイト「あいである広場」の編集長でもあり、社会的マイノリティ(障がい者、ひきこもり、性的マイノリティ、少数民族など)とその支援者や家族たちの生の声を取材し、お役立ち情報を発信している。著書に『認知症が見る世界 現役ヘルパーが描く介護現場の真実』(原作、吉田美紀子・漫画、バンブーコミックス エッセイセレクション)がある。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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