更新日:2024年03月15日 14:19
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東大院卒の研究者兼レースクイーン「そんなスカート履いて…」教授からの“アカハラ”の実態を明かす

「そんなスカート履いて、何しにきたんだ」と…

Reina+World氏 研究の話をしているときには、夢のなかにいるかのようなあどけない表情を見せるReina氏。だが研究者としてみた研究環境については、必ずしも理想的ではなかったという。 「旧分子細胞生物学研究所の不正研究は公になり、問題となりましたので、ご存知の方も多いかと思います。私が見聞きしただけでも、パワハラやアカハラはありました。たとえば、現在は退官している教員ですが、自分の気に入った写真データでなければ散々な叱責をする方がいました。『お前の写真はダメなんだよ、人間として間違っているからだ』などと無関係な人間性批判をする人で。その教授と“懇意”な女性研究者にどういう写真がいいのかを尋ねると、『コントラストをこうやって上げて……』と、周りの細胞が消えるくらい加工していたのです。捏造とまではいえないまでも、研究結果を真正面から捉えたものではないと思います」  あるいは同じ研究室の別の教員からの被害も経験した。 「とある教員の下で研究していたころは、『そんなスカート履いて、何しにきたんだ』から始まり、度重なる罵倒がありました。最終的には手分けして採取していたデータをすべて剥ぎ取られ、論文をその方一人の手柄にされてしまったこともあります」

ドロップアウトした優秀な研究者を「たくさん見た」

 Reina氏が危惧するのは、こうした個別的な事案についての加害性もさることながら、日本の科学研究全体のことだ。 「前提として、研究者の大多数は真面目に取り組み、気の遠くなるような研究をコツコツやっています。ただ、先ほど述べたようなパワハラやアカハラがあることによって、心を病んでドロップアウトしてしまう優秀な研究者もたくさん見てきました。みんな、もともと研究が好きでそこにいる人たちです。改ざんを指示されたり、自分が見つけた成果を捻じ曲げられたりすれば、精神をおかしくしても不思議はありません。さらに悪いことに、『研究とは苦しいものだ』『辛いことこそ善』という風潮が強い研究室も少なくありません。高校時代に父の研究室をみたときはみんなが生き生き研究に励んでいたので、ギャップにもショックを受けました」
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“推し”の研究者がいるような状態が理想
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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