更新日:2023年12月10日 12:37
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母の財産を狙う“兄の嫁”が大暴走。録音されていた「衝撃的な発言」で立場が逆転するまで

証拠の写真と音声を見せたら…

 やがて母親は亡くなり、兄嫁にとっては“お待ちかね”の遺産相続に話は移行する。 「母の遺言状には、『すべての財産を長女(増田氏)に相続させる』とありました。当然、兄嫁らは遺留分を請求してきます。  しかし私は、母の身体にできた打撲痕の写真と録音音声を提示し、『私がすべて介護費用を持っているにもかかわらず、介護の名にもとる行為をしているのは、詐欺罪に当たりますよね』と逆に損害賠償請求を検討している旨を伝えました。実際に裁判になっても私は問題ないし、場合によっては刑事事件化することも考えていると話すと、兄嫁は青ざめていきました」  ドラマや漫画ならここで一件落着かもしれないが、兄嫁には思わぬ“最後っ屁”があった。

植物に八つ当たりする愚行に走る

「母は生前、ガーデニングが趣味だったのですが、突如として奇声を発した兄嫁は、大切に育てていた植物に体当たりを始めて次々となぎ倒しました。 『お前ら金持ちにはよぉ』とか『泥水すすってきたんだよこっちは』とか、支離滅裂なことを叫びながら、親戚の男性たちに取り押さえられているのを私はただ見ていました。兄はというと、ずっと下を向いてクロスワードみたいなものをやっていました」  増田氏が抱える冒頭の悩みは、自分の死後に兄夫婦の子どもたちがどんな手を使って財産を取得しに来るかという点だ。 「兄一家だけではなく、他のきょうだいとも仲が良くないため、安心して財産を任せて逝ける人が思い当たりません。最近では、いっそのことどこかへ寄付でもしようかなと思っているほどです。  昔は大きな家に大勢の家族で住んでいましたが、こうしてひとりで暮らすようになって、『これでよかったのかな』なんて思うことはあります」  そう言って寂しげに笑う増田氏は、手持ち無沙汰な様子で頬をかいた。その手は、かけ違えてしまったボタンを探すように空を切った。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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