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小6で体重は30kg未満。“猟奇的な母の暴力”で狂った男の人生「心の根っこを洗脳されて」

「トラウマなんでしょうね、女性との性行為の際、思わず『喘ぎ声を出すな!』と怒鳴ってしまったこともあります。申し訳なかったなと思っています」  そう言って肩を落とすのは、小川諒平氏(仮名・30代)だ。会社員として順調に出世している彼のトラウマの根源は、母親にあった。小川氏によれば、母親は明るい性格で流行に敏く、人の輪に入るのが巧みな「愛され上手な女性」。  だが、家庭で見せる顔はまったく異なっていた。
小川諒平氏

小川諒平氏

「泣き声がうるさい」という理由で…

「私を身ごもったとき、すでに父と母は喧嘩が絶えなかったと聞いています。父からのDVが酷かったため、母は生むことを躊躇したようです。父方の親戚から『中絶費用は出すから』と勧められたらしいのですが、子どもがいることで女性として一人前になれると考えていた母は、出産を決めたようです。  ただ出産後は、赤ん坊だった私の泣き声がうるさいなどの理由をつけて、育児を父に任せて自分は実家に帰るなどしていたようですね

「小さなミスでも咎められた」影響が現在も…

 母親の小川氏への接し方に愛情はほとんど感じられなかったという。 「母は私に対して非常に当たりがきつく、殴る蹴るなどは当たり前でした。それ以上に酷かったのは、言葉による虐待でした。たとえば外出するときには、毎回『あんたは父親に似て一重まぶたで目つきも悪いんだから、職務質問されるわよ』と言ってきます。  食べ物は満足に与えられず、お腹が空いて冷蔵庫から何か食べてしまおうものなら『人のものを勝手に食べるなんて、父親に似て卑しい子だね』と。そんな環境ですから、小6のとき、私の体重は30kgにも満たなかったのです。自分の家なのに、他人の家にいるような居心地の悪い感覚でした。  小さなミスでも咎められ、吊るし上げられるため、間違うことに対して非常に臆病になってしまいました。大人になってからも、鍵のかけ忘れがないか、水道の蛇口から水は出ていないか、置き忘れたものはないか、などを何度も確認しなければ落ち着かない日々が続きました。ミスによってもたらされる結果よりも、ミスそのものに怯えている感じです」
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なぜ弟ばかりが贔屓されるのか
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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