更新日:2023年12月10日 12:37
ライフ

母の財産を狙う“兄の嫁”が大暴走。録音されていた「衝撃的な発言」で立場が逆転するまで

育児も仕事もせず、遊び歩く日々…

 兄嫁は交友関係が派手で、当時はまだ珍しかった外車などを増田氏の兄にねだって乗り回すなど、贅の限りを尽くした。 「両親は『うちの人間になったのだから』と諭すことはありましたが、兄嫁は聞く耳を持ちませんでした。父は兄夫婦の生活費のすべてを面倒見ながら、育児もそこそこに遊び歩く兄嫁に何とか社会人としてしっかりしてもらおうと、市役所職員の口利きを行いました」  経済的な基盤ができると、兄夫婦はやがて独立した。同居していたころは何かにつけて衝突があり、兄嫁が「生活の時間帯が違う! 入浴の音で目が覚めてしまう!」と騒ぐので、同じ家に風呂場を2つ作ったこともあった。

親族から死亡届が出されている?

 しばらくの平穏な生活ののち、やがて増田氏の父親が亡くなり、母親は恩給を受給していた。恩給とは昭和30年代以前の旧軍人や文官とその遺族を対象とした年金制度のことだ。  だがある日、不審なことが起こる。 「母は大きな家にひとりで暮らしていたので、仕事のない日は実家に帰って手伝いをしていました。そんなある日、母が『ここのところ数ヶ月くらい、恩給が振り込まれていないのよね』というのです。最初は、認知症を疑いました。しかし、口座を見ても確かに振り込まれていません。  すでに脚が悪かった母に代わって、私が役所へ出向きました。すると、驚きの事実がわかったのです。役所の職員は私に向かってこう言いました。 『失礼ですが、お母様はすでに他界されていますよね?』  まったく意味が理解できませんでした。しかし詳しく説明を聞くと、すでに親族から死亡届が出されているというのです。誰が死亡診断書を書いたのかなど、このあたりは詳らかではありませんが、死亡届を出したのが兄嫁であるということが判明しました」
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見えないところに、打撲痕が…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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