認知症の高齢者が、デイサービスに通うことを嫌がるケースはとても多い。だが、もし恋心や介護士へのファン心理が活力となり、毎日に張りがあるのなら素晴らしいことだ。認知症だろうと、高齢者だろうと、女性は女性。恋心や推し活だってあってもいいはずだ。 「写真のお婆さんは、家に帰ったら、たぶん僕のことなど忘れていると思うんです。ご家族にも『お世話になっている社長さん』と僕のことを紹介します。家に帰ったら、母の顔に戻る。一般的に、デイサービス事業所は、高齢者施設に入所するまでの通過点です」と坂本氏はいう。 　その通過点で好みのイケメンと知り合うことができたら、それはとても幸せなことなのではないか。 ＜取材・文／田口ゆう＞立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X（旧ツイッター）：@Thepowerofdive1