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「やっぱり無理です」入社初日に退職届を出した“期待の新人”。上司も納得してしまった退職理由

「質問攻めに合っている」と店長から相談が

 ある日、配属予定先の店長から中村部長宛に連絡が入ります。どうやら高橋さんのことについて相談があるとのことでした。 「報告というか相談といった内容で、どうやら高橋さんから質問攻めに合っていて、少し困っている様子でした。その質問というのが、動物たちの健康状態に関する内容で、少し元気のない子を見つけては、どのようなケアをしているのかなど、詳細に聞いてくるそうです」  その報告を受け、中村部長は本部内で情報を共有しました。ある上層部からは「店舗には向かない人材じゃないのか?」などの意見も出たそうですが、面接の際に見た彼女の熱意を信じ、予定通り4月からは店舗配属ということになりました。

入社初日に、まさかの退職届を提出

 ところが、入社初日にまさかの出来事が起きます。 「店舗に出社するはずの高橋さんが、本部の私を訪ねてきました。彼女は深く頭を下げ、何も言わずに退職届を差し出しました。私はただ事ではないと感じ、彼女を連れて会議室に移動し話を聞くことにしました」  高橋さんはゆっくりと退職理由を語り始めます。ただその表情は面接の時に見せた快活な表情ではなかったといいます。 「店舗にいたゴールデンレトリバーがずっと売れ残り、ある日を境に姿を消したそうです。その際、嬉しくて近くのスタッフに『よかったですね!飼い主さんと出会えて』と声がけした時、『業者に回したよ』と言われたそうなんです。この頃は、スタッフも高橋さんが内定者だと知っていたので、そのような内輪の回答をしたのだと思います。それが原因かもしれません」
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「業者に回した」……ペット販売の闇
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愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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