更新日:2023年12月23日 16:04
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M-1決勝、実力派コンビが大躍進の「改革のM-1」を元ファイナリストが分析

ヤーレンズ(ケイダッシュステージ)初出場

ヤーレンズ

ヤーレンズ

 ツッコミ担当出井隼之介、ボケ担当楢原真樹からなるケイダッシュステージ所属のコンビである。2021年の「モグライダー」や昨年の「カベポスター」のように、「いつ決勝に行ってもおかしくない」と目されていた2人が、涙のM-1初の決勝進出となった。  関東の漫才師のように見えるが、楢原君は僕と同じ大阪府池田市出身。出井君は神奈川出身だが、2人ともNSC大阪校卒業。いい意味での関西の泥臭さを消し去って、関西の強みであるテンポとタイミングを生かし切った漫才師である。  プロ目線の話をさせていただきたい。「ボケ」てから「ツッコミ」。これがきれいに気持ちよく決まるタイミングの「幅」がある。たとえば、「ボケ」の語尾を伸ばすことにより「幅」が広がるので多少ツッコミのタイミングが遅れたとしてもきれいに気持ちよく決まりやすくなる。

プロも唸る圧倒的な技術力

 それが「ヤーレンズ」の場合、楢原君のボケ数が尋常ではなく多く、それでいてテンポ感を失わないためにはそこまで「幅」を広げることができない。しかし、わずかな「幅」しかないタイミングでも出井君は100発100中で決めていく。とてつもない技術力を持ったコンビなのだ。  一度、僕が作家として関わっていた番組に出演してもらったことがある。ロケでも楢原君はしっかりボケて出井君がキチッとツッコミ、次へ進む。漫才のノリを生かしながらもロケの邪魔にもならなかった。  メディア関係者の皆さま、早めに捕まえておいて損のないコンビです。とりあえず日本テレビ「DayDay.」さんは呼んであげてください。怒涛のボケで天下を取れ!!
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「義務付けられた決勝進出」をクリア
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1972年、大阪府生まれ。1992年、11期生としてNSC大阪校に入校。主な同期に「中川家」、ケンドーコバヤシ、たむらけんじ、陣内智則らがいる。NSC在学中にケンドーコバヤシと「松口VS小林」を結成。1995年に解散後、大上邦博と「ハリガネロック」を結成、「ABCお笑い新人グランプリ」など賞レースを席巻。その後も「第1回M-1グランプリ」準優勝、「第4回爆笑オンエアバトル チャンピオン大会」優勝などの実績を重ねるが、2014年にコンビを解散。著書『芸人迷子

芸人迷子

島田紳助、松本人志、千原ジュニア、中川家、ケンドーコバヤシ、ブラックマヨネーズ……笑いの傑物たちとの日々の中で出会った「面白さ」と「悲しさ」を綴った入魂の迷走録。

⇒試し読みも出来る! ユウキロック著『芸人迷子』特設サイト(http://www.fusosha.co.jp/special/geininmaigo/)

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