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“日本人ならではの親切心”が要因にも…被災者の親族を装う「デマ投稿」が拡散されてしまう理由

人々の善意を悪用する卑劣な行為

今回の地震では、ほかにも人工地震説を唱える陰謀論や原発火災など誤った情報が飛び交いましたが、これらの投稿が広く拡散されることはありませんでした。 もともと日本のSNSユーザーは海外ユーザーと比べデマ投稿にはすごく冷静で、客観的に判断する能力が高く、荒唐無稽で出所が不明なデマ投稿に惑わされる傾向はほとんどありません。ただ、今回の場合は助けを求める投稿内容がより具体的で真実味を帯びていたことに加え、困っている人への親切心や正義感が揺さぶられたことが、拡散に加担してしまう人々が続出した要因と考えられます。人々の善意を悪用する卑劣な行為といわざるを得ません。 このようなデマ投稿が行われる目的として、X(旧Twitter)において、一定のフォロワー数やインプレッション数などの条件を満たすとユーザーに広告収益が配分される仕組みが開始されたことが挙げられています。しかし、かつての“不幸の手紙”に始まり、テレビ番組の企画を騙ったチェーンメールなど、世の中への拡散を目的とした愉快犯は昔から存在します。

アカウントが凍結されたところで…

もし今回のデマ投稿で得た収益がプラットフォーム側の判断で凍結されたとしても、こういった投稿がなくなることはないと考えていいでしょう。 さらにこれらのデマ投稿に対処するSNSプラットフォーム側のリソースも十分ではありません。投稿審査にあたる人員や予算が削減傾向にあるのに加え、投稿内容の真偽を判断するシステムはそもそも存在しないのです。 コロナウィルスが世界的に猛威を振るっていた時期に、明らかに人命や健康に重大な影響を及ぼすデマ投稿は削除対象とされましたが、大災害時に救助を求める投稿の真偽をプラットフォーム側で見極めることは事実上不可能であり、打つ手がないのが現状です。
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デマ投稿の拡散を防ぐためには…
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在京テレビ局関連会社、一般企業広報、人材教育コンサル会社を経てネットコンテンツ管理業務に従事。これまで数多くの問題投稿に向き合ってきた経験とメディアやコンサル業界で培った見識を活かし、ネットリテラシー向上を目的とした講演や評論活動を行う。一般社会人や中高生、教育関係者、芸能関係者等に特化した独自の研修プログラムを提供している。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、アンガーマネジメントファシリテーター、国内A級ライセンス資格を所有。
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