ユーザー離れが進む「スレッズ」。“ツイッターの受け皿”になれない現状が至極当然の理由
2022年10月にイーロン・マスク氏がTwitterを買収してからおよそ9か月が経ちますが、突然の仕様変更や相次ぐシステム障害、今回の“X”ブランドへの変更など、Twitterをめぐる混乱は一向に収束する気配がありません(本記事では「Twitter」と表記)。
常に話題を振りまくことで世間の耳目を集めようとするマスク氏のマーケティング戦略の一環である可能性もありますが、その度に混乱に巻き込まれる一般ユーザーは心穏やかではいられない状況下におかれています。
そして、対抗馬としてMeta社からローンチされた「Threads(スレッズ)」の動向も見逃せません。さながら戦国時代のような様相を呈してきていますね。
今回は、SNSリスクコンサルタントの筆者(井ノ口樹・いのくちたつき)が、いま注目されている「Threads(スレッズ)」がTwitterユーザーの受け皿となりうるのか考察します。
※執筆時点(2023年7月29日)の情報に基づき作成されており、掲載時には状況が変化している可能性があります。
Twitterの現状の不安要素として挙げられるのは、相次ぐシステム障害や突然のブランド変更だけではなく、投稿閲覧件数やDM送信といった、これまで無料で使えていた機能が一部制限され、有償サブスクへの加入が求められるようになった点です。
もっともこれはTwitterだけではなく、広告収入とビッグデータの活用が主な収入源であったSNSプラットフォーム各社は、近年の広告収入の伸び悩みによりユーザーに直接課金させる方針に舵を切りつつあります。
加えて、一部のヘビーユーザーが大量に投稿を繰り返すことを抑止し、サーバーや通信の負荷を減らすといった観点では、一定量以上のアクティビティに課金させることは有効な方策といえるかもしれません。
とはいえ、より便利な新機能を享受する対価としてではなく、今回のTwitterのように、今まで無料で使えていた機能に新たに課金を求められることは、既存の一般ユーザーにとっては不安を覚える方も多いのではないでしょうか。
これまでTwitterの混乱が報じられる度に、移行先としていろいろなSNSが候補に挙げられてきましたが、最近まで大きな注目を集めていたプラットフォームの一つに、分散型SNSの「Mastodon(マストドン)」がありました。
しかし、日本市場においてMastodonは、特定の政治的指向の強い層や、それに同調する一部のメディアにより注目を集めたいきさつがあったため、政治的論争に巻き込まれたくない一般ユーザー層に広く普及することはありませんでした。
さらに、全く新しいSNSとして音声コンテンツがメインの「Clubhouse(クラブハウス)」が大きく注目された時期もありましたが、クオリティの高い音声コンテンツを投稿することは一般ユーザーにはハードルが高く、現在では一部のクリエイターとそのファン同士のコミュニティを維持するにとどまっています。
Twitterの機能が制限されていく理由は…
後釜候補だった「Mastodon」と「Clubhouse」の現在地
在京テレビ局関連会社、一般企業広報、人材教育コンサル会社を経てネットコンテンツ管理業務に従事。これまで数多くの問題投稿に向き合ってきた経験とメディアやコンサル業界で培った見識を活かし、ネットリテラシー向上を目的とした講演や評論活動を行う。一般社会人や中高生、教育関係者、芸能関係者等に特化した独自の研修プログラムを提供している。温泉ソムリエ、温泉入浴指導員、アンガーマネジメントファシリテーター、国内A級ライセンス資格を所有。
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