ライフ

「家族が壊れる…」認知症の親の介護、当人の“病識の低下”が悲劇の原因だった

家族と一緒にいることが親孝行だという呪い

スタッフと手をつなぐ暖かい雰囲気の事業所

「家族にとってそういう状態の親の介護はすごくキツイと思います。1人でやらず、私たち介護職などとチームで取り組むことが大切だと思います」 また、関係がこじれてしまった時には、いったんその場から逃げて、仕切り直すことで虐待防止にもなる。 「客観視するために人に話すことも大切です。デイサービス事業所のスタッフたちは、家族の次に、当事者と一緒にいます。ですので、理解して話を聞いてくれ、苦しみを分かち合ってくれます。またデイサービスは通過点なので、いずれは親を施設に入れないと見切れない時期がきます。みな、家族と一緒にいることが親孝行だという呪いにかかっていると思います。家族といることが必ずしも幸せではないです」 坂本氏は、施設に親を入れることをポジティブにとらえて欲しいという。デイサービスで対応に慣れたスタッフに囲まれていると、落ち着いて過ごせる人も多い。デイサービスなど、高齢者施設を利用することがいいストレスとなり、「心が忙しくなる」ほうが被害妄想を持ちにくいこともある。 親や介護スタッフとして認知症の高齢者と関わる時には、当事者自身が戸惑い・不安の中にいるのだと思えれば、余裕を持って接することができるかもしれない。 <取材・文/田口ゆう>
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
1
2
3
おすすめ記事