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串カツ田中、創業当時は「絶対うまくいくわけない」と言われたが…15年で“全国318店舗”まで成長できたワケ

串カツ元祖の大阪で支持され、味への自信がついた

 まずは、駅から離れた住宅街の立地でも店を繁盛させた「成功モデル」をもとに、店舗数を増やしていく。その後、ひとつの転機となったのが2012年に出店した渋谷桜ヶ丘店(※2018年10月再開発事業の関係により閉店)だ。  創業以来、初めて人流の多いターミナル駅近くに店舗を構え、観光やショッピング目的の来街客をターゲットに据えたのである。  結果的にこの試みは功を奏し、出店するエリアの選択肢が広がったことで、串カツ田中のFC展開を勢いづけるものとなった。  そして、2014年には串カツ発祥の地にして、元祖である大阪の岸和田に店舗を出店する。 まさに、満を持しての大阪進出となったわけだが、「串カツが本場の大阪だからといって、値段を安くしたりメニューを変えたりすることはなかった」と織田さんは話す。
アメリカ村

串カツ田中 アメリカ村店の写真

「秘伝のレシピから生まれた串カツを関東で広めてきた自負があったことで、大阪でお店を出したときも、特に何かを変えようという意識はありませんでしたね。純粋に串カツ田中ならではの“味”で勝負したいと考えていました。  2016年に出店したアメリカ村店は、今でも串カツ田中の全店舗の中で常に売り上げ上位に入る人気店へと成長していて、大阪のお客様にもご支持いただけるようになったのは、大きな自信になりました」

「美味しさ」と「楽しさ」の追求が串カツブームの明暗を分けた

 東京で串カツブームを起こし、模倣した業態が追随を図るも、FC戦略で出店攻勢をかけたことで群を抜いた串カツ田中。  2016年に東証マザーズ、2019年に東証一部(現:スタンダード)を果たし、現在は全国に318店舗を展開するまでに成長した。その明暗を分けたのは大阪伝統の「美味しさ」と「楽しさ」の追求だと言える。  門外不出のレシピになぞらえた串カツの味はもとより、串カツ田中は創業時から来店客を楽しませる工夫を凝らしている。
たこ焼き

卓上で手作りする「たこ焼き」

チンチロリンドリンク

串カツ田中の名物「チンチロリンドリンク」

「居酒屋業態で始めたにもかかわらず、意外にもお子様連れのお客様が多くて、子供にも喜んでもらえればとソフトアイスをお客様自身で作る『自分で作れるソフトアイス』を提供していました。  また、2012年に始めたチンチロリンドリンク(サイコロの出た目に応じてサービス内容が変わる仕組み)はお酒を飲む方から非常に楽しめると好評をいただいています。2013年からは小学生のいるグループや6名以上の団体様に、卓上で手作りする『手作りたこ焼きセット(9個入り)』の無料サービスも行っています。  これらは利益を上げるというよりも、お店に来ていただけるお客様への還元や感謝の気持ちで、その場を楽しんでもらいたいという思いを持って、サービス提供させていただいているんです」
ポテトサラダ

串カツ田中のメニュー「ポテトサラダ」

 すりこぎを使って自分好みにじゃがいもをすり潰す「ポテトサラダ」や、好きな大きさに握って食べる「田中のおにぎり」など、串カツ田中では“体験型メニュー”の人気が高い。あえて未完成の状態で提供することで、自分たちで作って完成させる楽しさや面白さを引き出しているわけだ。
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ユニークな企画が生まれる社内文化
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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