低速馬場での“ジリ”ディープ系狙い
低速馬場ではリアルスティール産駒に注目!
——欧州向きの乗り方が欧州っぽい馬場にマッチしたということですね。では、今週末の競馬(京都芝、小倉芝)での、オススメの狙い方を教えてください。
rob:「低速の“ジリ”ディープ系狙い」はいかがでしょうか? “ジリ”ディープ系とは、ディープインパクトの直仔の種牡馬達で、
キズナ、シルバーテースト、リアルスティール等が代表的ですね。ディープインパクトは言わずと知れたスーパーサイヤーですが、その子供たちはディープインパクトからのスタミナが強調され、産駒は総じてジリ脚の傾向が強く、各馬の現役時代のようなキレを見せる馬がなかなか現れません。これはディープインパクトの母
ウインドインハーヘアが英オークス2着と欧州系の牝系であることの影響力が強いからでしょう。
一見、弱点にみえる“ジリ”脚ですが、クッション値が低い時には強みに変わります。
高速:複勝率32.9% 複勝回収率80%
フラット高速:複勝率31.5% 複勝回収率77%
フラット低速:複勝率34.4% 複勝回収率90%
低速:複勝率33.3% 複勝回収率90%
(単勝50倍以下・2020.09.12〜2023.01.14)
このように、高速やフラット高速時に比べてフラット低速や低速では、回収率が約10%アップしており、人気薄が好走しているのがわかりますよね。ちなみに、先週の「“ジリ”ディープ系産駒」の成績(単勝50倍以下限定)は、複勝率36.5%、複勝回収率104%でした。
——ディープインパクトのキレッキレのイメージとギャップがあるので、盲点になりそうです。
rob:先週の“ジリ”ディープ系産駒のうち、母父が欧州ノーザンダンサー系だった馬は、
複勝率52.6%、複勝回収率149%とさらに好走率がアップしています。日曜日の中山5Rで9番人気2着だった
コンテソレーラは、父が”ジリ”ディープの
リアルスティールで母父がノーザンダンサー系の
High Chaparral。1着だったカムフライの祖母はディープインパクトの母ウインドインハーヘアだったので、まさに「ディープインパクト馬券」で馬連万馬券となりました。
ちなみに”ジリ”ディープ産駒を、単純な良馬場と稍重重不良での成績で検索しても、顕著な差は出ていません。まさにクッション値の活用が優位性を持つ好例だと思います。
最後に、rob氏に今週末出走する“ジリ”ディープ系注目馬を教えてもらったので、ご紹介しておきます。ぜひ、チェックしてみてください。
・土曜京都5R
2エールクイーン
父はアルアイン。兄姉の7/8が中央で勝ち上がっている堅実血統。初戦は好時計のハイレベル戦で忙しく脚が溜まらない感じだったので距離延長はプラス。兄姉の「低速」芝での回収率は単複とも100%超え。
・土曜小倉6R
7ポリトナリティー
父はエイシンヒカリ。母父は欧州ノーザンダンサー系のバチアー。前走は開幕週で馬場も良く伸びきれなかった。中央2勝の姉は荒れ馬場の小倉芝1200で初勝利。
・土曜小倉11R
9ミズノコキュウ
父ミッキーアイル。過去2勝は「低速」芝。「低速」芝が得意だが湿った馬場は苦手なタイプ。前走は雨が降る中、坂を登ったところで失速。平坦+クッション値の低い良馬場替わりで。
・日曜小倉8R
ウインアステロイド
父はリアルインパクト。毎年冬の小倉連続開催で連戦し、開催が進むにつれパフォーマンスを上げている。前走は開幕週2日目で、今回は開催6日目の臨戦。
・日曜小倉11R
タツリュウオー
父はエイシンヒカリ。芝での2勝はいずれも「低速」芝。平坦が得意な差し馬で、ここ2戦は急坂コースと展開不向きで着順は悪いが、上がり上位を記録。開催が進み先行馬が多い組み合わせで。
取材・文/松山崇
馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。