芝の状態が悪い‟低速馬場”での「馬券必勝法」。気鋭の予想家が新基準のクッション値を解説
先週末は大荒れの天気。レースが行われた中山、京都、小倉ともにその影響を受け、中山で行われたアメリカジョッキークラブカップは勝ち馬の上がりが37.6秒という消耗戦に。京都、小倉も重馬場でレースが行われました。
中山こそ先週で開催が終了し、今週から東京に舞台を移しますが、京都と小倉は連続開催の真っ只中。
芝は、雨の中でレースをすると、確実に損傷します。ましてや、芝が生育しない冬の時期は、一度、荒れた芝は回復することはありません。先週の段階で、既に京都芝のレースは、ほとんどの馬が荒れた内側を避けて走る状況となっており、小倉も1勝クラスの芝1200m戦が1分10秒台で決着。かなり傷んだ状態となっています。したがって、今週以降も、高速馬場とは真反対の“低速馬場”で開催が進んでいくことになるでしょう。
つまり、時計勝負に強いタイプではなく、時計を要するパワー優先の勝負で強さを発揮するタイプが絶好の狙い目となってきます。
JRAでは、従来の「良」「稍重」「重」「不良」の発表に加え、2020年から、芝の「クッション値」を公表しています。クッション値とは馬場のクッション性を示した数値で、数値が高ければ硬めで反発力が高く、低ければ軟らかめで反発力が低いことを表しています。
一口に「良馬場」と言っても、限りなく稍重に近い良もあれば、パンパンの良馬場という場合もありました。その点、クッション値であれば、数字という客観的な指標で、現在の馬場状態を判断することができます。
このクッション値の過去データを集め、馬券に活用しているのが競馬予想家のrob氏です。京都や小倉の芝が“低速馬場”になりそうな今週、“低速馬場”での狙い方について教えていただきました。
――まずは、robさんの予想方法について簡単に教えていただけますか?
rob:競馬ファンの皆さんなら、時計の速い高速馬場と時計の掛かる馬場で、求められる能力が異なることはご存知だと思います。ただ、単純な重馬場成績、不良馬場成績は、簡単にデータソフトで出せてしまうため、馬券的での有効性は今ひとつ。そこで私は、クッション値のデータを使うことにしました。クッション値に基づいて、芝の状態を「超高速」「高速」「フラット高速」「フラット低速」「低速」の5段階にわけて、種牡馬や騎手を検証したところ、やはり馬場状態によって得意不得意があることがわかってきました。
——具体的な例があれば教えてください。
rob:代表的なのが「低速のマクフィ」です。マクフィは欧州でリーディングサイアーにもなったドバウィの直仔。それだけに、産駒も日本の高速馬場よりもクッション値の低い馬場を好む傾向があります。芝1600m以下、単勝50倍以下の馬に絞ったデータだと、「超高速」では複勝率29.2%、複勝回収率71%なのに対し、「低速」だと複勝率35.2%、複勝回収率104%まで跳ね上がります。
欧州に近い馬場になると欧州系が活躍するというのは、種牡馬に限った話ではありません。来日して32戦も勝利のなかった英国出身のR.キングスコート騎手が、先週日曜の中山芝で1勝2着3回と突如、大爆発したのも、馬場状態と無関係ではないでしょう。
新しい基準「クッション値」に注目!
新進気鋭の予想家・rob氏に聞く
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馬券攻略誌『競馬王』の元編集長。現在はフリーの編集者・ライターとして「競馬を一生楽しむ」ためのコンテンツ作りに勤しんでいる。
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