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「楽天の息の根を止める」意外な企業の正体。“楽天経済圏”を崩壊させる周到な戦略

改悪が続けば、コアユーザーの流出は避けられない

 一方、Amazonの場合は、ポイント還元率は悪い。というよりもそもそもポイントに期待するユーザーがAmazonにはそう多くない。すなわちスピードと安さ、使いやすさ、品揃えなどポイント以外の購買体験を磨くことに一貫してこだわっている。その安心感がユーザーから信頼を得ているのだ。  これと同様の「お金だけじゃない関係」を楽天はロイヤル顧客と築き、長く利用してもらえるユーザーを優遇する方向へと向かうべきである。しかし、現在の楽天ロイヤルカスタマーが自社を支えてくれていることを忘れていると言わざるを得ない。  今後もポイントの改悪を続けていけば、楽天経済圏に長年どっぷりと浸かっていたロイヤル顧客の流出が起きるだろう。楽天市場を支え続けてきたコアなファンからも見放されたとき、楽天はECにおいてもソフトバンクに敗北するかもしれない。  長年自社の経済圏を巡ってシェア争いを繰り広げていたソフトバンクと楽天だが、両者のECを舞台にした戦いは、徳川家康と豊臣秀吉が激突した最後の戦いであり、戦国の世に終止符を打った「大坂の陣」と言ってもよいかもしれない。    この戦いに勝利したほうが日本のネットビジネスの覇者になるーー。  そんな未来が筆者には見える。   <TEXT/田中謙伍>
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している
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