元大手銀行「リストラ課」が明かす、“お金が逃げていく”3つの行動
働けど働けど、我が暮らし楽にならざり。ぢっとスマホから預金残高の画面を見ている人は多いだろう。この物価高と円高もありながら、なぜかお金が貯まらないのは、もしかしたら何気なくとっている行動のせいかもしれない。
自分の癖に気付き、少しだけ行動を変えるだけで、自然とお金が増えていくのだ。
お金が逃げていく人の一番の特徴は「いくら稼いで、いくら使ったか」という収支を把握していないことだ。
収入と支出のバランスがわからないと、どれだけ貯金できるか、どれだけ借金があるか、などが見えてこない。その結果、無駄遣いや衝動買いを繰り返してしまう。収入に見合わない生活水準をリボ払いでなんとか維持すると、返済と利息で苦しむことになる。
筆者が担当していた問題先の社長には、このタイプが一番多かった。頼れる副社長や経理がいれば良いのだが、「誰も会社の金の出入りを把握していない。税理士だけが知っている」という、恐ろしい状況にも何度か遭遇した。
従業員への給料未払いや税金の滞納が発生すると、銀行のデータに記録が残り、信用度が下がってしまう。一度失った信用は簡単に取り戻せるものではなく、融資の条件も不利なものになるという悪循環が生まれてしまう。
収支を把握するためには、家計簿をつける、銀行口座やクレジットカードの残高を定期的にチェックする、などの習慣を身につけることが必要だ。今では家計簿アプリが数多く出ており、データを連携すれば収支を簡単に把握できるので、導入することをお勧めする。
お金が逃げていく人のもう一つの特徴は、お金に関する情報収集をしないことだ。
今でこそ金融リテラシーが叫ばれるようになったが、これを読んでいる大半の人は義務教育ではお金に関することを学んでこなかったと思う。お金に関する知識がないと、収入を増やす方法や、お金を有効活用する方法に気付けない。お金に関する最新のニュースやトレンドにも疎くなり、節税のチャンスを逃したり、怪しい金融商品に手を出してしまったりする。
筆者が担当していた問題先では、少々極端かもしれないが、こんなエピソードがある。銀行から会社へ「××という補助金が区から打ち出されるから、申請してみてはどうか」という情報を提供しても、無関心。経営者へ「NISAが始まったから、節税に活用してみてはどうか」という情報を提供しても、反応はいまいち。結局、うやむやになったまま、法人でも個人でも赤字を垂れ流し続けていた。
お金に関する情報収集をするためには、本や雑誌を見るのが一番だ。もし本屋へ行くのが億劫なら、YouTubeで動画を観たり、ネット記事で自分の感覚に近いものを軽く読んだりするだけで、だいぶ違ってくるだろう。
筆者(綾部まと)は新卒でメガバンクの法人営業部門に入行し、8年間に渡り中部地方と東京の某支社の営業、丸の内本部でのトレーニーを経験した。「問題先・破綻懸念先」と呼ばれる赤字先・債務超過先を集約した、通称「リストラ課」での業務歴もある。
そこでは、お金との付き合い方が下手な経営者を数多く見てきた。この経験から、お金が逃げていく3つの行動をご紹介する。
お金が逃げていく行動①「自分のお金の流れを把握していない」
お金が逃げていく行動②「お金の情報を得ることに関心がない」
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ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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