更新日:2024年02月22日 22:55
恋愛・結婚

「拒否しない=イエス」とは限らない……性的同意の4つの重要ポイント|鈴木涼美×みたらし加奈

性的同意の4つのポイント

性的同意

写真はイメージです

──事後に「同意」が覆ることも、焦点のひとつになっているように思います。 鈴木:たとえその場で女性が同意をしても、事後に相手から「あいつ、オレとヤッたんだよね(笑)」と噂されたり、音信不通になったりしたら、女性は傷つくし怒りますよね。 みたらし:本来の性的同意って、トラブル回避のためにアプリなどで言質を取ることではなくて、デートでお店を決めるときに、「今日何食べたい?」「嫌いな食べ物やアレルギーない?」などと、相手の意思や踏み越えられたくない一線を確認するという、コミュニケーションの手段だと思います。 性的同意のポイントは以下の4つといわれています。①ノーと言える環境が整っていること(非強制性)②社会的地位や力関係に左右されない対等な関係であること(対等性)③いつでも「やめて」と言えること(非継続性)④その行為が「したい」という明確で積極的な同意があること(明確性)です。 鈴木:これが今のグローバルスタンダードなんですね。かたや日本に目を向けると「最初は無理やりだったのに、女性がやがて受け入れて、最後は気持ちよくなっていく」という文脈のエロコンテンツがまだまだ多いですよね。「いやん」と「NO!」の区分が曖昧なので、世界基準とのギャップをどう埋めていくのかが今後の課題だと思います。

性的同意や相手へのケアが大切なのは夫婦間でも同じ

みたらし:「嫌よ嫌よも好きのうち」といったなし崩し的な性行為、つまり主体性を奪われた状態が長く続くと、人は「自分にとって心地のいいこと/悪いこと」の境がわからなくなってしまうんですよね。 性被害者支援の現場のなかでも、例えば「性行為で首を絞められるのが好きだと思っていたけど、それは過去の性被害のトラウマによるものだ」と気づくケースは少なくないと言われています。性被害に遭った人の中には、過剰な性行為をあえて繰り返すことで、「自分が主体的に行っているのだから、被害は大したことがないんだ」と心を守ろうとする動きもある。心理学ではこれをトラウマによる『再演行為』といいます。 鈴木:モノのように扱われた経験を克服するために、自分をモノのように扱って “献上”するわけですね。性的な行為を当人が積極的に望んでいたかどうか、「性をめぐる自由意思」は長年、議論されているテーマでもありますね。 みたらし:だからこそ、誘う側が積極的にコミュニケーションを取ることが必要なのだとも思います。性的同意や相手へのケアが大切なのは、夫婦間の性行為でも同じですよね。理想は、家事や育児の分担の話し合いと同じように、性行為の話ができること。その上で、二人の意思がすれ違ったり、話し合ってもうまくいかなかったりした場合、カウンセリングを利用して、第三者に相談するのも選択肢のひとつですね。 鈴木:私もいつか、みたらしさんにカウンセリングをお願いするかもしれないです……。
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上下関係や利害関係がある限り、同意は成り立たない
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