仕事

タクシー運転手が思わずイラっとしてしまう「客の第一声」。遅れたのは自分なのに…

まるで会話にならない乗客の一言

タクシードライバー

江東区にある東京タクシーセンター

「何でもいいから、早く行って。ほんっとうに急いでいるんだからさ」  怒気をこめた声が返ってくるのみ。まるで会話にならないし、ルートの確認も取れない。車内は一気に殺伐とした空気になったという。  仕方ないのでナビ画面を示しながら、〇〇から乗って〇〇で降りて向かいますと伝え、高速に乗った。幸いなことに渋滞はなく、流れに乗りつつ順調に走り、降りるインターの300mほど手前で車線を変えたところ、それまで黙っていた男が口を開いた。 「おい、こっちの(車線)ほうが流れがいいじゃないか。なんで遅いほうを走っているんだよ」 「この先で降りるからです」  うんざりしながら返事すると、男は舌打ちしていた。うるさい客だ。でも、高速を降りれば目的地まであと3kmほど。次の交差点を右に曲がれば3分以内で到着だとA君が気持ちを切り替えたその時。なぜか警察車両がその方面の道を封鎖していた。大きな事故があったらしい。仕方なく、その旨を伝え、迂回ルートを行きますと伝えると――。

迂回ルートに行くと伝えると…

「おいっ、どうなってんだよ。なんで通れない道なんか選んだんだ。ふざけんなよ」  男は大声で喚きだした。いやいや、気持ちはわかるけれど、こんな緊急封鎖は予想できないわけで、A君は頭をフル回転させ、最適な迂回ルートを模索した。  候補は2通りあった。ひとつは混雑する繁華街を通るルート。もうひとつは少し遠回りだけど、空いている一方通行。急いでいるでしょうから後者を行きますと伝えると、男は自分のスマホのグーグルマップを見せながら 「どっち行くんだよ。こっちのほうが距離短いだろ。遠回りすんな!」  繁華街ルートを行けと怒っている。もう説明する気も失せたのでその通りに進むと、案の定大渋滞にハマった。ほーら言わんこっちゃない。
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イライラが頂点に達した男は…
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フリーライター。定時制で東京を走り回っている現役の中年タクシードライバー

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