仕事

タクシー運転手が思わずイラっとしてしまう「客の第一声」。遅れたのは自分なのに…

Bさんが新人を装って謝罪すると

 これを難癖という。正直な話、どちらを走ろうとも到着時間はほぼ変わらない。でも、この手の輩に道交法の話をしても通じないこともよくわかっているし、会社の看板もあるので「申し訳ありません。乗り始めたばかりで不慣れなもので……」  大人なBさんは新人を装い謝罪した。 「新人だろうがなんだろうが、こっちは同じ金払ってるんだ。関係ねーよ。甘えてんじゃねーよ。黙って言われた通りに走ればいいんだよ」  男はさらに絡み続け、「いい年して新人なんて恥ずかしくないのか」と、俺様的な暴言が続いた。ドライバーは絶対に反論・反撃してこないと確信しての狼藉だった。Bさんはそれを受け流しつつ、運転席のシートを後ろから蹴るなどしたら、即座に最寄りの警察に目的地を変え、暴行罪でお灸をすえることも視野に入れていたという。

この車臭いと窓を開けた子連れ母がしたこと

 自分勝手という点では、筆者が冬の肌寒いお昼時に乗せた、小さな子供連れた母親の行動も香ばしかった。行先は1kmほど先のところだったが、走り出した途端、母親が後部座席の窓を開けた。すかさず子供が「ママ、寒いよ」と訴えた。 「だって、この車内臭いのよ、我慢しなさい」  え、そんな臭いの? 自分ではまったく感じていなかったので驚いたとともに、後部座席で何か臭いがしているなら申し訳ないと、素直に謝罪すると、 「車内の臭いには気をつけなさいよ。掃除もちゃんとしてるの?」  母親はピシャリと言い放った。そして目的地に着くと「ちょっと用を足してくるから待っていて」。
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5分ほどして母親が戻ってくると
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フリーライター。定時制で東京を走り回っている現役の中年タクシードライバー

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