更新日:2024年04月07日 00:23
お金

「ドトール」と「スタバ・コメダ」で明暗分かれる。“一杯300円の喫茶店”は中途半端な存在に

業績悪化につながった「店舗の立地」

コロナ禍以前の段階で全社売上高は1,300億円前後を推移し、既に成長・拡大は止まっていました。そこへコロナ禍が追い打ちをかけます。2020年2月期から23年2月期の業績は次の通りです。 【ドトール・日レスHD(2020年2月期~2023年2月期)】 売上高:1,312億円→961億円→1,094億円→1,269億円 営業利益:102.9億円→▲43.2億円→▲17.8億円→29.7億円 全店舗数:2010→2012→2043→2013 同社の店舗は主に首都圏そして都内の駅前に数多く展開しています。エクセルシオールカフェを含むドトール系列のカフェは現在約1,300店舗ありますが、約800店舗が関東に集中し、都内だけで500店舗ほど。消費者の外出自粛がそのまま業績悪化に直結した形です。 一方、高価格帯喫茶店の人気もあり星乃珈琲店は拡大を続けていましたが、22年2月期末に282店舗を記録して以降は頭打ちとなり、24年2月期3Q時点で275店舗とやや減少しています。ちなみに星乃珈琲店に似たような業態としてコメダHDが運営する「コメダ珈琲店」があります。コメダは郊外・地方で店舗数を増やし、コロナ禍でも順調に拡大し続けましたが、ドトールと同じ都内偏重姿勢が星乃珈琲店の苦戦につながったといえます。

ガソリンスタンド併設店で郊外進出を狙う

やはり郊外立地への展開が弱いと認識しているのか、近年では郊外店の出店を継続中。ドトールコーヒーショップに関しては、ENEOS内に出店するガソリンスタンド併設型が目立ちます。同じくガソスタ併設型でありながら食事メニューを充実させ、ドライブスルーを設けた「ドトールキッチン」も2019年から増加の一途をたどっています。 都市部では、他チェーンよりも低価格である点や気軽さを売りにしてきたドトールですが、車で来店する客に対して安さは必ずしも売りにはなりません。ブランドや味を求める消費者はコメダやスタバを選ぶ一方、安いコーヒーを求める消費者はコンビニコーヒーや缶コーヒーを選ぶと考えられます。そういった意味でドトールの価格帯はロードサイド店にしては中途半端であり、通常店ではなくGS併設店での郊外進出に至ったのではないでしょうか。 <TEXT/山口伸>
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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