お金

いきなりステーキ、特許の「オーダーカット制」廃止を招いた逆風。老舗チェーンと分かれた明暗も

ロードサイドを中心に約200店舗を展開

ビッグボーイ

ビッグボーイの店内

 ちなみに、単一業態に事業を集中する外食売上ランキング2位のマクドナルドは、売上は首位ゼンショーの半分以下の3819億円だが、営業利益は408億円で10.7%と2桁以上の高収益率である。  財務状態を見ても、自己資本比率が28.2%のゼンショーに対して72.8%と高いマクドナルドでは、資本の安定性に大きな開きがあり、両社の戦略の差が如実に数字に表れている。  その外食最大手企業のゼンショーの傘下で、再起を図ろうとする株式会社ビッグボーイジャパンの店舗数は、207店舗で、店舗別内訳はビッグボーイ179店舗、ヴィクトリアステーション28店舗である(2022年8月時点)。郊外型のロードサイド店舗を中心に出店し、フードバー(スープ・サラダ・カレー)がセットされ食べ放題が堪能できる。特にカレーバーは人気を博しており、メイン料理の前にたらふく食べる強者も存在し、圧倒される。

店舗を訪れて心配していたことは…

ビッグボーイ

ビッグボーイのサラダバー

 キッズ特典が多く来店ごとの特典を楽しみにするなどお子さんにも人気が高い店で、親御さんが週末に連れて行くというパターンの店である。筆者も昔からなじみがあるので、定期的によく通っていた。ただ、各店けっこう老朽化が進み、複数個所の修繕が必要なのに放置されており、心配したものだった。なぜ資本力のある外食最大手企業の傘下になったのに、この状態を放置しているのかが不思議だった(たまたま筆者の周りの店舗がそうだっただけかもしれないが)。  多くの業態を傘下に有するゼンショーのブランド・ポートフォリオ戦略(各ブランドの勝ち負けを定量的・定性的に分析し、自社の企業価値を高めるために、ブランドの入れ替えをして、持続的な成長を達成すること)の中で、収益性や成長性の観点から、経営資源を配分する価値がないと評価されているのかなと心配していた。  ビッグボーイの魅力はスープバー(コーンスープや中華スープ)とカレーバーだと思う。一時期、カレーバーのある店が増えたが、今は少なくなっている。カレーの味も安定的に美味しくこれだけでも価値があると思う。
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店舗を訪れて心配していたことは…
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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