お金

いきなりステーキ、特許の「オーダーカット制」廃止を招いた逆風。老舗チェーンと分かれた明暗も

外食版DXを推進するビッグボーイ

ビッグボーイ

ビッグボーイでは受付も無人だ

 筆者の体感ではあるが、昔は、メインであるステーキやハンバーグ料理の提供が遅く、待っている間にお客さんは何度も、サラダやスープのお替りをして、メイン料理が来た時はすでにお腹がいっぱいになったという例も多かった。お客さんが何度もスープバーやサラダバーに向かう姿を見て、料理提供が早かったら原価がもっと低く低減させられるのではと思ったものだが、今は改善されている。  ビッグボーイはブロンコビリーと違い、人手不足の中でロボットなど外食版DXを推進し、省力化投資に力を入れている。元気ある従業員の接客から生み出す活気ある店内雰囲気のブロンコビリーとは真逆の路線のようだ。  店に入って案内もロボット、オーダーもタッチパネル、料理提供は配膳ロボット、会計はセルフレジと人とは接しない非接触型の運営となっている。若干、寂しい感じもするが、今はこういうレストランの形態に慣れてしまったお客さんも多く、特に違和感がなく食事を満喫されているようだ。

運営スタイルは真逆だった両チェーン

ビッグボーイ

ビッグボーイのステーキ

 ビッグボーイは客席案内~水・お絞りの提供~注文~料理提供~レジ会計(人の応援あり)までの一連のプロセスがデジタル機器などを使ったセルフサービスで行っている。一方、ブロンコビリーは人によるフルサービスである。  その省力化投資で、筆者の訪問時は、ビッグボーイはランチのピーク時でもホール2人、キッチン3人、配膳ロボット2台で約110人収容の大型店を回しており、料理提供には配膳ロボットがフル活動している。人はフードバー(サラダ・カレー・スープ)の補充や片付けに専念しており、人と機械の協働体系が構築されている。  一方のブロンコビリーは、こちらも筆者の訪問時は、7人の定数で運営していた。パートさんの最低賃金と4時間程度の時間保障などの人件費総額とロボットの1時間あたりのリース費用(約95円)とを勘案し、それらを投入して店が得る効果を考えたら、どちらの運営スタイルがいいかは難しいところで、経営者の店舗経営に対する理念の違いであろう。
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運営スタイルは真逆だった両チェーン
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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